Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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「失った私の歌」とは?
 あちこちに一筋縄では解けないパズルが仕込まれている気がしてきたアニメ版ハルヒシリーズ。どこを切っても素敵な仕掛けが施された壮大な彫刻のように、どこまでも探求者を引き込むその迷宮は、日に日に話題を広げて挑戦者を増やしているようです。私自身がこの「天下一武闘会」に参加できる喜びを噛みしめつつ、先日の「ライブアライブ」に関連する一つの疑問を。

 もう一つの挿入歌「Lost My Music」。明るい曲調にぴったりと合ったハルヒの極上の笑顔がとても印象的でした。ですが、この曲のタイトルは、一体何を意味するのでしょうか?今回のシリーズでは描写されない、ハルヒの別エピソードに関連しそうな歌詞が散りばめられていることは何となくわかるのですが、それだけだとこの「ライブアライブ」というエピソードに用いられた理由としてはやや弱い気がします。
 ずっと考えてきてようやく思い当たったことは、「このシーンでハルヒが失った何かと掛けてあるのではないか?」ということです。そこで、直前の「God Knows...」と「Lost My Music」との間で起こったハルヒの変化を考えてみると、たった一つ、「笑顔の有無」があることに気付きました。

 ENOZメンバーの心の内を代わりに吐露しながら(拙文「ライブアライブ」の後半部分をご参照下さい)、演奏が終わるまで一度も笑顔を見せなかったハルヒ。しかし演奏を終えて、その思いが観衆に通じたことを受け止めるや、彼女は得も言われぬ笑顔を漏らします。そして、続く「Lost My Music」では終始笑顔なんですよね、彼女。もしこの間でハルヒが失ったものがあるとすれば、それは「笑うことを許さない、彼女自身の心の中の何か」ということになります。

 ハルヒの不満・憂鬱の大元は、「あまりにも退屈なこの世界」だったはずです。ということは、彼女が笑えない理由は「退屈だから」。逆に言えば、ハルヒが笑えるようになったことは「この世界が彼女にとって決して退屈なものではなくなった」ということを意味します。これは、この回のラストシーンでハルヒ自身から語られた「『今自分は何かをやってる』っていう感じがした。」というセリフともぴったり合いますよね。彼女は大げさに言えば「世界への敵意」を失い、代わりに当たり前の生活こそを楽しいものと捉えられる気持ちを手に入れたのだと考えられるわけです。

 そのことが、なんと音楽でも表現されていました。ここまで使用されてきたハルヒの歌は、ほとんどが裏拍からの入りを多用したシンコペーティックな旋律、付点4分のリズムを巧妙に組み合わせた非常にトリッキーな進行を特徴としてきました。OPではサビの「ーうけんでしょでしょーんとがーうそー」の箇所や、ラストの「明日 過去に なった 今日の 今が 奇跡」の部分もそうですし、EDでもまるで表と裏が入れ替わった錯覚を覚える「あっそっぼう」「おーおきーな、夢、夢、好きでしょ」の部分など、代表的なところだけでもいくつも挙げられます。これらは、曲自体を魅力あるものにするツールとしても機能しながら、破天荒な世界を望むハルヒの心境を象徴的に示す鍵でもあった、と思うのです。そして今回の一つ目の挿入歌である「God Knows...」においても、サビ部分では4拍目裏に引っかけたフレーズがよく耳に残ります。

 しかし、「Lost My Music」だけは、いわゆる「4つ打ち」以外のリズムがメロディにほとんど乗ってこないんですよ。唯一あるのはサビのシンコペーション(「I still, I still I love you」の「love」にあたる部分)のみで、トリッキーと言うにはあまりにも素直です。言ってみればこれは奇を衒ったところのない「当たり前の曲」です。そんなメロディを心底楽しそうに歌うハルヒが「失った歌」とは、それまでの「破天荒な世界を望む歌たち」だったのではないでしょうか?

 次回放映される「憂鬱 V」そして恐らく最終回に控えている「憂鬱 VI」は、ハルヒがまだそれらの歌を失っていない頃のエピソードになります。彼女が如何にして「普通の世界もいいもんだ」と思えるに至ったのか、その過程に注目していこうではありませんか。

~~~
 当初、この記事のタイトルは「私の『失った歌』とは?」、記事中で引用した曲のタイトルは「My Lost Music」になっておりました。Naさんのコメントで恥ずかしながら間違いに気付いたような次第でして…大慌てで直させて頂きました。やっぱりいくら考察神が降臨したからって、眠気を無理矢理抑えてまで書くと大きなポカをするものですね。(^^; 自分への戒めとして、ここに経緯を残しておきます。Naさん、どうもありがとうございました。m(_ _)m
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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コメント
この記事へのコメント
Lost my music では?
 この作品を見ていると、娘の成長を見守り読み解く父親のような気分になってくるんですよね。ハルヒの成長を見るたびに、ホント泣きそうになりますw
2006/06/25(日) 05:40:01 | URL | Na #3/2tU3w2[ 編集]
バンドにあってピアノにないもの
成績優秀でスポーツ万能で、オープニングではピアノまで弾いています。
しかしピアノ演奏は退屈で、バンド演奏なら充実感を得られるということは、日本のクラシック音楽界にありがちのノーミスの演奏が良い演奏と教えられていたのでしょうか。
考えてみればハルヒは準備を万端に整えて完全勝利を目指す言動が多く、勝負事に勝つことと自分が面白いか否かか行動の動機でした。
しかも感情をもてあましながら、口ではあんなんで良かったのか、後一日あれば、なんて言っています。
手を抜いても世の中は受け入れるんだ…とは決して思わないところが彼女の真面目な性格なんでしょうけど、親も周囲も(ピアノを最初に教えた人も)創造の真価を教えられない人ばかりのようで…。
正解よりも大切な間違いがあるとは他の番組?
まぁS.O.S.団の団員達も現状維持が目的で建設的なことはやってませんが。
2006/06/25(日) 10:41:13 | URL | てんてけ #s6Bn.ZB2[ 編集]
ご指摘感謝でございます
>Naさん

いやお恥ずかしい!いや、言い訳さえみっともないですけど、「あれ?なんかおかしいような?」とは思っていたんですよ!ちゃんと確認するべきでしたが、もうかなり眠かったので…。

ホント、ご指摘頂いて助かりました。どうもありがとうございました。

>てんてけさん

私としては、「クラシック=退屈、バンド=面白い」ということでは必ずしもなかったと思っております。軽音楽部に仮入部した経験がある、しかし結局そこにも正式入部はしていない、ということから考えて、その時にはハルヒにはバンドも「やはり退屈」だったのだろうな、というのが私の考えです。

ハルヒの生い立ちと言いますか、親御さんとの関係やピアノを習った過程の話になりますと、少なくとも私にとっては「証拠物の少ないかなりの邪推」になってしまうので、ちょっと語る資格がないかなあ、というところですね。その辺の、語られていない遊びがかなり多く存在することも、ハルヒという作品への訴求力を高める一つの魅力になっているようで、とても興味深いと思っております。
2006/06/25(日) 12:07:20 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
I lost I lost I lost U
your making making MY MUSIC

のところから大好きな人を失った切なさを歌ってるんじゃないですかね。「歌」は「生活のリズム」と捉えることもできます
2006/06/25(日) 14:22:31 | URL | こい #-[ 編集]
前回カキコすべきでしたが…。無理無理!
ライブシーンより三日、落ち着いた所でソレ以降を視聴してみました。


団の活動では、メンバーに断りも無く予定を立てるわ、行き当たりバッタリな際でも自分だけの考えで物事を決定しようとするハルヒ。(いつも、待て!を入れられる訳ですが)
今回のMCのシーンでもソレは見られました。
助っ人の彼女が「MDにダビングするなんて、どう?」と勝手に発言。
ですが、今回に限ってはメンバーからは問題無しと返ってきます。


自分が本来やりたい物に対しては、回りは理解してくれず、自分を曲げてメンバーの意見を取り入れても良い結果が全く残せない。
しかし人の為に!と協力した所では、
2006/06/25(日) 19:30:50 | URL | えころ #-[ 編集]
ヒーローチックなコメントばかりでスミマセン
メンバーだけでなくオーディエンスからも称賛される。
世の中は上手く行かない物だなぁ、と悲しくも見えましたし、また彼女にも「能力者は天才と同じ様に人々の為に生きなければならない」と言う運命が纏わり付いてるのかな?と思えました。
(…そんな番組じゃないですね。顔に草が返ってきたのは、利己による行動は上手くイキマセンよ!と言う表れだった様な気もします)


千葉は日曜放送なんで、今晩も楽しみです!
2006/06/25(日) 19:45:53 | URL | えころ #-[ 編集]
失った私のレスですが…
>こいさん

>大好きな人を失った切なさを歌ってるんじゃないですかね。

 歌詞の「元々の意味」はその通りと思いますよ。当記事では、その「表向きの意味」にはとりあえず触れず、「隠した裏の意味」について考察したもの、とお考え頂ければ幸いです。


>えころさん

> メンバーだけでなくオーディエンスからも称賛される。

 なるほど、ですなー。確かにライブアライブ中ではそのように帰着していますね。ま、一見教育的とも取れる意味合いについては、あんまり突き詰めちゃうと最終的にハルヒが不幸になって終わりそうな気もしますので(汗)、私はほどほどにしておこうかな、と思います。m(_ _)m
2006/07/03(月) 22:37:13 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
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