Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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planetarian 第3章「ゆめみの投影」
 2度、見ました。

 あまり私の調子が思わしくなく、決して多くは見られない状況でしたが、その中で、日を空けて、このレビューに取り掛かる前に、2度。

 その結果、2度ともほぼ同じ傾向で感情が揺さぶられ、ほぼ同じ場所で決壊する体験をしました。

 ほぼ同じ場所で2度。

 そこには、きっと何かがあるんです。

 本ストーリーの中盤の大きな山場を形成する、「プラネタリウム鑑賞のシーン」を描いた今話。もう周回遅れの状況ですが、私なりに感じたことについて、少しばかり書き記しておこうと思います。
 
~~~


 まずは、原典のゲームをプレイした時に、このシーンで私が感じたことを振り返ってみます。

 主人公、プレイヤーの写し身とも言える、屑屋。彼は、満天の星空などというものは経験したことがなく、星空を見せてくれるというゆめみの話についても、事前には特段の感情を抱いていません。イエナさんの修理を手伝ったのも、その結果として自分が何かを得ることが目的ではなかったはず。

 だから、ゆめみによる投影を見ることにしたのも、特別に大きな期待があったわけではないのです。

 その、屑屋が。

 作り物の日没の後、眼前に広がる美しい星の世界に、大きく揺さぶられます。その星々の出現と同時に流れる名曲「Gentle Jena」。本作の中盤までで、私が最も好きなシーンです。

 屑屋の動揺は、モノローグの形で語られます。少し長いですが、全文引用させていただきます。

俺は目を見張った。
投影機の具合がおかしくなって、途方もない失敗をしているのかと思った。
銀色をした光の粒が、まるで最初からそこにあったかのように、天蓋全体にぶちまけられ、音もなくさざめいていた。
明るいものもあれば暗いものもあった。赤色や黄色のものもあった。
一面の星、降るような星、燃えるような星、砂金のような星、宝石箱のような星…
そんな形容はいくつも聞いたことがある。
だが今、目前にあらわれた光景を想像したことは、一度もなかった。


 美しい一節です。やっぱり好きですねぇ、ここ。ゲームのリプレイのたびにグッときますし、このテキストを読んでいるだけでも少しこみ上げるものがあります。


 さて。


 今回のアニメ版、ここには力点を置いてきませんでした。私の気持ちの正直なところを言えば、残念だった、と言っていいでしょう。

 「Gentle Jena」が流れ始めるのは、日没後ではなく、太陽を表す赤い点が投影される頃からなので、ゲームの感動ポイントよりもかなり早いタイミングです。

 一面の星が広がった時には、屑屋の目のアップから急速にカメラを引いていってイエナさんのアップへ、そして満点の星々へとパンを移していく、非常に印象的な描写がなされていて、とても美しいシーンとして仕上げられていました。アニメとしては実に力の入った絵作りだと思います。ですが、ゲームでのテキストに表されていたような屑屋の動揺というものは、彼の表情からは読み取れないようになっています。

 残念ではありましたが…同時にそこに、意図的なものを感じました。

 ここで視聴者の感動を一気に高め切ってしまわないような、そういう意図があるような…。

 屑屋の表情に見えるのは、大きな振幅の感動というものではありません。ですが、「ほぅ…」というやや放心したような表情や、白鳥座を見て胸のペンダントを握りながら見せる得も言われぬノスタルジックな表情などが描かれています。

星に、吸い寄せられそうになるな…。


 感動を覚えていないわけではないのです。

 恐らく誰も見ていないのに、大げさな身振り手振りを駆使して物語を語るゆめみ。彼女に対する思いはゲームでもモノローグで語られていましたが、アニメの方は…実に温かみのある屑屋の表情をそこに補完してきました。

 ゲームにあった「信じられないものを見た」という屑屋の動揺は抑え、屑屋とゆめみとの間で深まっていく「何か」は大きめに描く…そういうハンドリングなんですよね。

 特別投影に入る寸前で起きてしまった停電の後、「特別投影は…もう…」と絶望しそうになるゆめみに、お前の声だけでいい、投影を続けろと告げる屑屋のシーンにも、そういう意図を強く感じます。交わされる会話は概ね同じで、星のことなら全部頭に入っている、と屑屋が嘘をつく展開も同じなのですが、その後のこのやり取りが。

(目の中のフォーカスを動かして、屑屋の顔を見るゆめみ)

ゆめみ「…お客様は、本当に星がお好きなんですね」

(その言葉にハッとする屑屋)

ゆめみ「お客様のような方にご来館いただいて、私は本当にうれしいです」

屑屋「……ああ」(気まずそうに顔を背ける屑屋)

「それでは、お言葉に甘えまして、私の解説のみで続けます。どうぞこちらへ」

屑屋の心の声「本当に、疑うことを知らないやつだ」
(しょうがないやつだな、という趣の顔で)


 実に、実に丁寧です。何かが二人の間に通う、そこに大きなエネルギーが割かれていることがとてもよくわかるんです。





 投影の再開。あるのはゆめみの言葉だけ。暗闇の中で…のはずだったんです。

 それが、「見えないはずの映像」を、もう初っ端から出すわ出すわ…ええ、いいのかそれでと思いかけた瞬間、ゆめみが語る「一人の若者が目を覚ましました」という言葉に合わせ、体を起こす屑屋の描写が!!

 ああ、そうか!!これは全部、屑屋がゆめみの言葉に触れることで紡がれた、屑屋の中に広がった「投影の世界」なんだ!!単に「屑屋の想像の中」ってだけじゃあない!!「ゆめみが創造した屑屋の中の世界」なんだ!!しかも、実際に映像が流れていた前半よりも、一層美しいものとして!!

 ここまでの描写が比較的緩やかに進行していた意図が、はっきりとわかると同時に、何とも言えない気持ちが湧き上がりました。

 その後、ゆめみがふわっとイエナさんに腰掛ける「実際にはあり得ない描写」を見て、そして、ゆめみが「タイムマシン」を操作して満点の星々を高速で振り回すシーンで…私は毎回決壊するのです。

 ああああ!!そのシーン、予告映像でも流れてたよな!!知ってるよそのシーン!!だけど、何でこんなにも心揺さぶられるんだ!!知ってるのに!!

あなたが暗闇に迷い、本当の星空が見えなくなってしまった時。
そっと思い出してみてください。それが…ちいさな、私の夢です。


 見えていないはずの「未来の星々」の光に心奪われ、あり得ないものを見た、という表情で目を見張る屑屋……ああ!!ここに持ってきたのか!!屑屋がどうしようもなく心揺さぶられる瞬間を、ここへ!!

 …この記事の冒頭で、「ああ、てりぃは今回、あんまりキてないのだな」と思った方。はっはっは。そんなわけないじゃないですか。だって、この屑屋の表情を見せられたら私の涙腺なんでも゛づわ゛げがっっ!!!

 だはあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!

 誰にっ!!誰にお礼を言えばいいんですかっ!!スタッフの皆さんにっ?!監督にっ?!原作シナリオの涼元さんにっ?!すずきけいこさんと小野Dにっ?!

 それはもちろんそうなんですが、もう一組、お礼を言わなければならない人たちがいます。私は、この世界で、このような美しいものを紡いでくれた、ゆめみと屑屋にもお礼が言いたいのです。

 「ゆめみの投影」。ゆめみが投影したもの。屑屋の心に、私たちの心に、投げかけてくれたもの。なんてことはないサブタイトルのようでいて、実によく練られたサブタイトルだと思います。



 最後にもう一つ。

 投影が終わり、目を閉じて寝たふりをしていた屑屋は、ゆめみの声を聴きながら、世界に雨が降り始める前のことを思い出そうとします。

 恐らく母親と思われる人に抱かれた幼い自分が夜空を見上げたことを思い出す屑屋。その展開は、(テキストで表現されるか映像によるかの差はあれ)ゲームもアニメも同じなのですが…。ゲームではその後、こんな言葉が続くんです。

あの空に、星はあったのだろうか?
俺は、思い出そうとしていた…


 見えたのか、見えなかったのか。答えは無いんですよね。テキストならではの、余韻の残る描写です。これも、好きです。ですが、今回のアニメでは、たった一つではありますが…美しい光を放つ星が、雲のほんのわずかな切れ間から顔を出し、幼い屑屋の目の中に輝くカットが……。

 何という救いか!!

 こんなにも破滅的な、希望の持てない世界にあって、ゆめみの投影がもたらしたのが「わずかではあっても輝きはある」という、未来への希望の記憶なんですよ?!

 もういっかい、いいよね?

 ぐわばらびやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!




 完全に周回遅れとはなりましたが、大きな感謝とともに、第3章のレビューとして残させていただきます。本当に、本当にありがとうございます。残り2章、私なりの全力でついていきます。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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