Old Dancer's BLOG
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planetarian 第2章「投影機修理」
 公開からだいぶ日数が経ってしまったので、手短に参ります。

 この第2章は、「起承転結」の流れで言えば「承」に当たるパーツで、長さも10分強とかなりコンパクトに収まっている一話ですが、この中に結構な数の「含意」がありますね。それらの含意は、例によってサブタイトルから読み解いていけそうです。

 個人的には、サブタイトルは短い方が好きです。長くなるにつれてどうしても説明調になりますし、過剰に長いものでは風情もどこかへ飛んで行ってしまいます。逆に短いものでも、決して説明不足ということはありませんし、その短い語句の中に尋常じゃないほどの意味合いが込められているものも少なくありません。短い言葉に意を込めるのは日本人のお家芸的なところがありますからね。

 いや、実際に、制作陣がそこまでの意味を込めたのかどうかは、見ている我々には知る由もないのですが…でも、作品自体に深みがあったり、作りこみの中に掘り下げられたパーツが数多くあったりすると、自然、意図するか否かによらず、「含意」もまたあちこちに多く散りばめられることになります。そうすると、サブタイトルとの関連は嫌でも出てくるわけでして、見ている側にとっての邪推の幅も確実に広がるんですよね。

 そんなわけで、今話のサブタイトル、「投影機修理」です。まあ、屑屋が取り組んでいる作業がそれですから、端的なサブタイトルではあります。でも、作品のバックボーンである「最初の一発」やら「封印都市に至るまでの経緯」も語られているんですから、そういう系列のサブタイトルでも良かったんじゃないですかね?それが、愚直と受け取られかねない「投影機修理」がサブタイトルになっています。これをあえて選んだ理由がちゃんと存在するように、私には思えました。
 
~~~


はじまりは、どこかの国が撃ち込んだ、遺伝子細菌兵器だ。
やがてその報復として、熱核弾頭が使われた。
戦争は何年も続き、世界中の人間が死んだ。
生き残ったやつも星になんか興味はない。


 冒頭で屑屋の口から語られる、この世界の現状に至った経緯です。原作ではもっと多くの言葉を尽くして語られていますが、今作ではビジュアルでもある程度補完されているので、お初の方でもイメージは伝わるものと思います。

 ただ。

 今話の冒頭でこのパーツが語られたことが、ものすごく違和感があったんですよ。前回ラストで踵を返した屑屋の足元のシーンから、ここに直接つなげてくるんだ?!という驚きがありました。

 狙いがあるはずです。この過去のイメージを冒頭に捻じ込んできた狙いが。尺稼ぎ?そうですね、この構成だと、すぐ後の屑屋の夢と合わせて、最小限の時間で舞台設定を語れそうです。でも、それだけじゃないでしょう。サブタイトルが「修理」なのに、修理なんてとてもできない「取り戻せない過去」が語られているんですもの、そりゃあ意味深ですよ。

 もう一つ。上記の屑屋のセリフの後で、ゆめみはこんな反応を返します。

サポートセンターに該当情報を照会していますが、受諾されません。


 世界が壊れていることを知覚できないロボット・ゆめみの表現として、原作でも何回か出てくるセリフです。しかし、尺が限定的なこともあるのでしょう、今作では今のところはここで言われる一回きりです。もしこれが、「ここぞ」という時を選んで使われているのだとしたら、直前の屑屋のセリフと無関係ではないでしょう。

 「応答しないサポートセンター」もまた、もう修理が効かないものです。

 取り戻せないものって、結構多いんですよ。撃ち込まれてしまった遺伝子細菌兵器。撃ち返されてしまった熱核弾頭。起こってしまった大規模な戦争、その結果死んでしまった大勢の人たちの命。恐らくは永遠に奪われてしまったであろう、ゆめみをサポートできる開発環境や運用環境、サポートセンター、そして、職務を共にしてきた彼女の仲間たち…。

 こんなにも多くのものを失って、それでもまだ「修理」を試みることに、意味があるんでしょうか。


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 別な視点で、もう少し見てみましょう。

 今話では、午前0時でゆめみがスリープモードに入る描写が2回入っています。大事なことなので2回?いや、もっと大事な描写があります。彼女の稼働可能時間、確実に減じて行っているんですよね。それを視聴者に意識付けするための2回だったのかなと思います。

 ゆめみはロボットですから、睡眠によって体調を回復する必要はありません。ただ、電力がないと彼女は動けなくなってしまいますから、「限られた電力の中でできるだけ有効に稼働する」という条件を満たすべく、設定に従ってそのように行動しているわけです。

 また、屑屋についても、印象的な描写が2か所ありました。一つは、雨水を濾過して飲み水を確保し、飲み下す描写。もう一つは、残量を気にしながら、クラッカーを食べる描写です。これ、原作ではさほど取り上げられていない部分なんですが、アニメではわざわざ尺を取られています。

 屑屋は人間ですから、水分を摂取しなければ死んでしまいます。また、食料を摂らなければ餓死してしまうでしょう。そう言えば、眠っている描写もありましたね(夢は悪夢でしたが)。生物である以上、水分・栄養の摂取や睡眠による休息は、生きていくための必須要件です。

 ゆめみが稼働を続けるための必須条件。屑屋が生き続けるための必須条件。その二つは同一ではないけれど、どちらも欠くべからざるものです。それらが失われてしまった時、彼女は、彼は、活動を停止する…。

 ゆっくりと、緩慢に、滅亡への道を転がっていくこの星の上で、残り少ない「自分が動き続けるための糧」を消費しながら、投影機の修理に精を出すロボットと人間。何とも言えぬ物悲しさを覚える構図です。

 それでも、まだ、「修理」を試みることに、何かの意味があるんでしょうか。


~~~


 修理の最中、ゆめみが投影して見せたホログラムの中に、天国にまつわる同僚のセリフがありました。

そりゃあ、故障とかバッテリー切れとか、全然ないところよ!でしょ?


 故障がなければ、修理は必要ありません。

 バッテリー切れの心配がなければ、ゆめみもずっと稼働することが可能でしょう。

 失われてしまうものへの懸念も、活動をやめてしまうことの心配も、一切しなくてよい場所。それが天国なのだとしたら、今話で描かれている大半のものは救われるんですよね。上記のセリフで言われているのは「ロボットの天国」のことでしたが、人間にとっての天国も同じ救いがあるはず。

 でも、その救いは、現実には無くて。

 永久に失われてしまうものも多く、残り少ない限られた時間の中を、僕たちは生きていくしかない。


 それでも。


 いや、だからこそ。


 僕らは「修理」をするんですよ。例え確実に直る見込みがなくても。




 壊れてしまったフィラメントは、どうにもできません。




 水没してしまった地下の酒屋から、酒を入手することも叶いません。




 しかし、投影機は直りました。奇跡的な力ではなく、ロボットと人の愚直な行為によって。




 取り戻せるものがほとんど無いのが、この世界なのだとしても、こうしてわずかながら取り戻せるものだってあるのですよ。「修理」が必ず無為に終わるわけではないのです。

 投影機=イエナさん。そして他にも…今話でわずかながら「取り戻せたもの」に気付かれましたか?それは、今話のラストシーンにありました。

俺にできることは、全部やった。


 この屑屋の笑顔は、第1章では見られなかったものです。無論、第2章の前半部でも見られません。この「投影機修理」の過程で、彼が取り戻したものなんですよね。一体、彼の「心」を修理してくれたのは…。直後のゆめみのまぶしい笑顔が、それを雄弁に物語っていたように思います。

 「承」にあたる今話、コンパクトでしたが、実に充実した一話でした。次回は…いよいよアレですか。気を引き締めてかからねば。
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