Old Dancer's BLOG
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宇宙戦艦ヤマト2199 第二十五話「終わりなき戦い」
 サブタイトルの意味が、考え出すとなかなか深そうです。

 普通に考えれば、「もうガミラスとの間の戦争は、終わったと思ってたのに…」という今話の展開のことを指している、ということで鉄板かとは思いますが…「これが最後のデスラーとは思えない、いずれ第二、第三のデスラーが…」という意味であったとしても不思議ではありません。(いやいやいやいや

 (通じますよね?初代ゴジラのラストのパロですよー)

 冗談はともかくとして、本当に「これで終わりなのかどうか」という余韻をもサブタイトルに込めた、というのは、ありそうな話だなぁと思っています。だって、表面的には今話で「戦い終結」に見えるじゃないですか。そこに「終わりなき戦い」ってね、やっぱし何か違和感あります。仮にガミラスとの戦いはこれで終わりだとしても、という含みに聞こえてならないんですよねぇ…。

 そのガミラス、というかデスラーとの戦いにしても、もう戦わなければいけない理由なんて、ないはず。少なくとも、ヤマトの側には、戦う理由はありません。手に入れたコスモリバースを一刻も早く地球に届けることが、今のヤマトの唯一にして絶対の目的ですから。余計な戦闘なんて、可能な限り回避したいんですよ。

 それでも、この戦いは避けることができなかった。ヤマトの目的を果たすためには、かかる火の粉は振り払わねばならなかった。この辺のやるせなさ、矛盾を孕みかねない理念と現実の難しさなどに思いを馳せると、「終わりなき戦い」という短い言葉に込められたモノがじわーっと伝わってくる気がして、実に味わい深いのです。

 こうして、何度も見直した後でも「じわーっ」と来る何かが存在する作品は、願ってもそうそう得られるものではありません。そのことに、今週も改めて、感謝を。
 
 さて。

 今回の第二十五話は、劇場では15分前後の短縮版としての上映を余儀なくされたため、フルサイズで見られるのは今回の放映が初めてでした。

 Twitterでの噂によれば、Blu-ray版では更に作画のリテイクが入りそう、なんて話も出ていますが…とりあえずは、ストーリー面が無事にきちんと補完されたのは喜ばしいことです。

 大きく補完されたのは、ディッツに離反したゲールがデスラーと合流した経緯+それを追ってきたUX-01がゲールを撃つ展開+あの藪がそのUX-01に?!という辺りでしたね。UX-01も藪も、出てきた瞬間に「何っ?!」て叫んじゃいましたよ。これはいいサプライズでしたし、ああ、UX-01も藪も愛されてるなぁと思って、またスタッフの愛情の深さに感じ入ることしきりでした。

 劇場で見た際には「生き残ったのか?!」と思われたゲールが、無事にと言うか何と言うか、ここで戦死する流れだったのは、ゲールファンには残念でしたが。旧作では死んでいたキャラが今作で生き残った例としては、副総統ヒスを初めとするガミラス住民の方々と、藪くんという辺りで終わりでしょうかね。病に臥せっている沖田艦長の容体が、引き続き気になるところではありますが…。


~~~


 気になると言えば、第二十三話でせっかく再会できた古代と森雪が、また大変な状況に巻き込まれております。

 旧作では、ガミラス人は放射能が無いと生きられないという設定になっており、白兵戦を仕掛けるにあたってヤマトの中に放射能を流し込みながら攻めて来るんですよね(今にして思うとすんごいトンデモ設定ですが)。その前線で戦う古代を救うため、森雪は調整の終わっていないコスモクリーナーDを無理やり起動させ、その衝撃で倒れて意識不明になる、という流れだったと記憶しています。

 それが今作では、自害しようとするセレステラを助けようと身を投じたところを、セレステラともどもビーム銃で撃たれる、という展開に変わっております。これには、放射能云々の設定が無くなったこと以外にも、ちゃんと描写の狙いがあるように思われて、なかなかいいんです。

 旧作の雪は、古代、すなわち同胞を守るために自分の体を犠牲にしました。それが、今作の雪は、異邦の人を守ろうとして身を投げ出しているんですね。

 これはすなわち、直前に泣きながらデスラーに告げた雪のセリフと、同等のことを行動で示しているわけです。

地球もガミラスも…戦う必要なんてなかったのに…
お互いを思いやって…
愛し合うことだって!

…できた…はずなのに…。


 旧作においては、ガミラスを殲滅した直後に言われたこのセリフでしたが…こうして「終わりなき戦い」の中で言われると、また違った凄みが出てきますね。これに対するデスラーの答えが「戦いは…必要だった…」というものだから、なお切ないわけで。

 前回、メルダと手を取り交わした古代、ユリーシャと様々なものを交わしながら別れを告げた雪、そういった「異星人とも分かり合える」という様子を示した直後だからこそ、「それでも戦いは終わらない」というこの状況は、深く考えさせられるのです。



 デスラーについても、触れておかねばなりますまい。

 今話におけるデスラーの行動は、一貫していないように見えます。一番はっきりわかるのは、ヤマトから立ち去ろうとする時の、一連の流れかな。侍女たちに古代のことを「撃つな!」と命令しておきながら、帰還後にデスラー砲でヤマトを滅しようとしていますよね。また、元々はヤマトのことが欲しくなったから攻め入ったはずなのに、そのヤマトをデスラー砲で木っ端微塵にしようとしているのも、何かおかしいです。後者は、手に入らないものならいっそ…という話なのかもしれませんが、前者は説明不能ですよね。

 でも、私はこれを脚本の矛盾とは思っていません。このように描こうとして描いているんだろうなと、そう思っています。

 端的に言えば、デスラーはおかしくなっているんですよね。いつからか、それはわかりません。ヤマトに固執し出した時か、それともガミラスを自分の手で撃とうとした時か、それよりも更に前からか…ひょっとしたら、ただ一人愛するスターシャのために星々を従えようと行動を起こした時から、デスラーは静かに、しかし深く壊れ始めていたのかもしれんせん。

 デスラーの個々の行動は、狂気に蝕まれているものばかりではありません。古代たちを「撃つな」と指示したデスラーは、人の愛や情というものをちゃんと理解しているようにも見えるんですよ。また、セレステラを撃ってしまった時の、あの後悔に満ちた表情も捨てがたいですね。あれは明らかにデスラーのミスであり、そうして撃ってしまった者が、デスラーに思いを寄せている女性である、ということも、この時点のデスラーはちゃんとわかっているんです。デスラー自身が愛のために行動していることを吐露していますし、デスラーが冷血漢、というわけではないんですよね。

 しかし、内に抱えるスターシャへの愛に従い、その理想をデスラーなりのやり方で実現しようとした時に、デスラーの行動は狂気を帯びます。あまねく星々を従えなければならない、恒久の平和を実現するために戦争をしなければならない、戦争には勝たねばならない、例え相手を滅ぼしてでも…元来あったはずの「愛」という動機は、歪み、変質し、独裁者としての立場ゆえにどこまでも膨張して多くの悲劇を生みます。それが、デスラーの本来の行動の理由である「愛」の本質とは食い違ってしまっていても、もうデスラー自身にはどうにもならなかったのだと思います。

 だから、デスラーの最後は「自滅」でなければならなかったのでしょう。ヤマトが抵抗のために撃った三式弾ではなく、自ら引いたデスラー砲の引き金を以て、デスラーはその愛と野望の幕を自ら下ろします。欲したはずのヤマトへ自ら刃を向けるその様を、「自らの愛を自分の手で壊すデスラー」の姿として、今一度我々に示して…。



 真田さんの「こんなこともあろうかと」は、旧作のデスラー砲反射とは全然違う方法論で再現されていましたね。色々なものを包含していたショートエピソード・第9話のモチーフをここで使ってくるとは思いませんでした。

 旧作とは異なるものを盛り込み、援用し、重ね、絶妙に絡ませて…ヤマトはいよいよ銀河系外縁まで帰ってきました。倒れた雪、病に臥せる沖田艦長を乗せて。

 残すところ、あと一話。今作が示すラストシーンを、最後にもう一度、しっかりと受け止めたいと思います。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:宇宙戦艦ヤマト2199 - ジャンル:アニメ・コミック

コメント
この記事へのコメント
トラバのお礼と…
トラックバックありがとうございます。
25話の感想と見解、大変興味深く拝見しました。自分も旧作からのファンですが、2199はシナリオも設定も秀逸に練り直されていて完成度の非常に高い作品になっていると感じています。細かい部分では、ここはもう少し…なところも有りますが総合的にはほぼ100点かと思います。
残りラスト1話。自分は劇場公開版は観ていないですが、2199版ヤマトの結末、しっかりと見届けたいと思います。

また、気軽にトラックバックやコメントして下さいね。
それでは。
2013/09/24(火) 23:31:09 | URL | バスターM7 #-[ 編集]
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