Old Dancer's BLOG
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宇宙戦艦ヤマト2199 第十九話「彼らは来た」
 前話のレビューの最後に、私はこんなことを書きました。

 続く第十九話、「彼らは来た」のサブタイトルを前借りするような心地を持ちつつ、今回のレビューはこんなところで。


 以前にも例があるんですが…このシリーズの面白いところは、サブタイトルや本編メインのテーマの中身を、前後のエピソードにも引っかけて使うことがあるんですよね。

 今話において、ユリーシャin百合亜と沖田艦長との対話で語られている「波動エネルギーを武器にしてはならない」という件も、前話のサブタイトルにちょっと引っかかるモチーフですよね。使ってはならない武器への波動エネルギー転用は、まさしく「昏き光」と呼ぶにふさわしいものです。そうした罪業を越えてイスカンダルまで行く様子を見て、「人類が救うに足りる存在なのかどうか」を見極めてほしい、と沖田艦長は言うわけですね。

 前後に相互の連関を持たせつつ、少しずつ船は~ストーリーは進んでいきます。大マゼラン、波高し。そこで繰り広げられる相互のエピソードに、今回も切り込んで参りましょう。
 
~~~


 大決戦前夜、というところ、一番先が気になるエラいところで、一週の休みに入ってしまいました。ただ、「前夜」だからと言って描き方がヌルいかと言えば全然そんなことはなく、むしろ「前夜」だからこその深い心理描写や、その後につながり得る多くのパーツを散りばめた、シブい一話だったと思います。

 「敵」「味方」の間に、相互に響く何か。或いは、未だ明確には語られていない、総統の胸の内にある二面性のようなもの…。今回はその辺を掘り下げていきたいと思います。



 まずは、デスラーの表情について。

 デスラーが「一人」の時の表情は、デスラーの本心を表している、と考えて間違いないでしょう。そこで、今回の冒頭部です。

…この星にしがみついて何になる。


 見たことないですよね、こういうデスラー。諦めなのか憂悶なのか、とにかく暗い面持ちで、誰にも言わぬ本心を、自分の胸の内でつぶやきます。デスラーは、ガミラス本星を見限ろうとしているように見えるんですよね。以前にタラン兄が言っていた、「遷都をお考えらしいよ」というセリフとも符合する部分です。

 そのことが、この憂いに満ちた表情とともに語られているところが、デスラーの裏に深いものがあることを窺わせて、何とも悶えどころです。この星を見捨てねばならないその理由は何なのか、デスラーがそのことを公表せずに自分の胸の中だけに留めているのは何故なのか。…このシリーズの中で明らかにされるのかどうか、わからない部分でもありますが、実に気になりますね。


 この、割とテンションが低く、少なからず憂いを帯びたデスラーの面持ちは、その後のドメルとの対話でも続いています。

君には不愉快な思いをさせてしまった…。


エルク。君にはもう一つ……頼みがある。


 大きな裏切りに対応するためとは言え、友であるエルク・ドメルに不遇を与えてしまった侘びと、その友に今一度大きな役割を依頼するべく、神妙な態度で臨んでいるデスラー、という図なんですが…ここは我々も慎重に見定めなきゃいけません。先の、我が星を憂いとともに見ていた時のデスラーは「一人」でした。だから、あれは彼の本心でしょう。じゃあ、今度は。デスラーは一人かと言えば、そうではありません。ドメルもそうですが、他の閣僚も大勢、傍にいるんです。これがデスラーの本心かどうか、わかったもんじゃありません。

 そのことを裏付けるように、その後のデスラーが描かれています。あえて一人の時の表情を、です。この場面は、二等ガミラス人であるノランが、自らの忠誠を示すためにガミラス国家を歌い始め、それがその場の軍人たちに広まって、大きな声となって高らかに広間に響いているのですが…デスラー総統とガミラスへの忠誠が溢れ返っているかのようなこのシーンに、デスラーは片目を隠したアングルで描かれており、手元のチェスのような駒を進めて意中の者を手に収め、不遜な笑みを浮かべるんです。先のドメルへの態度とは正反対の、この邪(よこしま)な顔つきはどうですか。ドメルを「友」と呼ぶ行動さえ、自らの目的を達成するための手数に過ぎない、とも取れるではないですか。

 これらに、決して外には出さないデスラーの本心の、その二つの側面を垣間見ることができる、と思います。

 一つは、冒頭で見せたような、「何らかの理由で母星を見限らざるを得ないこと、そのことに対しての底知れぬ憂いの感情」。そしてもう一つには、「自分への忠誠には何ら興味がなく、自らが望む何かを得るためには虚偽も謀略も惜しまない、邪悪とも呼べる心」。そのどちらもがデスラーの本心なのだと思います。

 そのことを知ってか知らずか、ドメルはデスラーの言葉を、親愛なる者のそれとしてではなく、あくまで「上官の命令」として受け止めます。政治には興味がないというドメルにとっては、「良き駒」として自分に課せられた命令を果たすことこそが大事なのですね。武骨な軍人として描かれていることが、わずかながらの救いではありますが…。

正しいとか正しくないとか、
そりゃあ色々あるだろうけど……
事実は一つだけさ。

僕たちは、ここまで来たんだ。


 二つの側面があろうとなかろうと…事実は一つのものとして、時間は先に流れ続けます。デスラーの内心がどうであろうと、ドメルは自らの使命を果たすべく、戦地へと艦隊を進めるのです。


~~~


 正と邪、ということで言えば…この記事の冒頭でも触れた、沖田艦長とユリーシャ(in百合亜)の対話がまた奥深いです。星をも滅ぼしかねない、沖田艦長曰く「禁断のメギドの火」たる波動砲。そこに内在する「罪と罰」を越えて、ヤマトが正しき道を進めるのかどうか……ここで交わされているのは、そういう会話なんですよね。

 正しき道がどれであるのかは、登場人物の誰も知らないことです。見ている我々ももちろんそうですが、それは制作スタッフにとっても同じなのではないでしょうか。この作品は、ただ、「正しき道が何であるのか」という問いを、全ての人に突きつけるのみです。

 そう考えると、今話が「七色星団の中を突破するか、迂回コースを取るか」という「道の選択」を中心に組まれていることが、また一段と深みを増してくるんですよね。どちらが正しい道なのか、正解はありません。しかし、ヤマトはどちらかの道を行かねばならない。正しかろうと、正しくなかろうと、事実としての一つの道を。



 そしてまた、その道の選択に際して描かれる、ヤマトを率いる沖田艦長、迎撃部隊を率いるドメル将軍の、「二つのサイド」が実に渋いです。



 以前、ガミラスのオートマタを回収・解析した結果を受けて、沖田艦長はこんな表現を使ったことがあります。

同じルールの将棋が指せるということだ。


 その時は、「ガミラスは得体の知れないモンスターなどではなく、人間と同じ思考形態を持ち、対立するだけではなく話し合いもできる存在である」ということの提示がメインだったのだと思いますが…今ここに至ると、この「同じ将棋が指せる」という言葉が別な重みを持って響いてきますよね。

 七色星団を行くか。迂回ルートを進むか。

 この辺の「互いの戦略の読み合い」が、「同じ将棋」のことを思わせて実に胸熱です。並の指揮官なら、間違いなく迂回ルートを辿るでしょう。しかし、沖田艦長は第十五回のドメル包囲網突破や、第十八回のゼーリック大艦隊突破で見せたように、「並の指揮官などではない」。そして、ドメルはその卓越した指揮ぶりを、目の前で一度見ているんですよ。「ヤマト、侮り難し」というあのアツいセリフ、そして、両者無言のままに、互いが「好敵手」であることを意識しつつ、それぞれに睨み振り返る、あの極上のシーンが脳裏に蘇ります。ドメルには、「ヤマトの指揮官が並の男でない」ことがわかってるんですよね。更に、沖田艦長もまた、あの時の指揮官=ドメルが、才覚に富んだ有能な軍人であることをわかっている…。ガミラス側が並の指揮官ならば、七色星団を通るコースで敵を欺けるだろう、しかし「もし敵があの時の指揮官だったら…」。

 違う出会い方をしていたなら、ドメルと沖田とは、相互に深く理解し合える存在だったのに違いありません。ですが、互いに「譲れないものがある」というこの状況下では、激突は避けられず…。

 この二人が、恐らくは相互に理解し合える、似た者同士であることは、他の部分でも描かれています。二人とも、行く手を定めるその前後に、失った愛する者のポートレートをじっと見ているんですね。それは、「守り続けるべき者」ではなく、「守れなかった者」です。プライベートにおける「守らなければいけない者」はもう失ってしまっていて、それでもなお、戦いに身を投じ、先へ行かねばならない理由がある…。

 そして、それぞれの「譲れない道」は、どうしてもぶつからざるを得ず、先に進むことができるのは一方のみ、なんですよね…。

ドメル「彼らは来る。」


ユリーシャ「彼らは来た。戦いとともに。」


 ああ!この、悲しい相似形はどうですか!彼ら…それがヤマトのことであろうと、ドメル艦隊のことであろうと…彼らはここに「来る」しかないんですよ!その向きが、どうしてこのように正反対で、お互いを倒すことでしか切り開けないものなのかと…。



 七色星団戦は、旧ヤマトシリーズでも一二を争うぐらい、個人的に大好きなエピソードです。

 今作ではそこに、上記に記したような更なる深みが持たされていて、どうにもこうにもたまらないんですよ。また、記事中ではあまり触れませんでしたが、「ガミラス本星以前では最後の防衛戦のはずなのに、何故大艦隊が投入されていないのか」とか、「旧ドリルミサイルは何故あんな仕様だったのか」など、旧作では触れちゃいけないご都合主義部分と思われたところに、丁寧に整合性を図るための手が入っています。さらに、あの多段空母をはじめとするガミラス艦の、あの重量感よ!もうね、あれ見るだけで泣きそうです。よくぞここまで!と叫びたくなるくらいの、素晴らしい再構築ぷりじゃないですか!

 次回、「七色の陽のもとに」。避けられないこの戦いの行く末を、しっかりと見届けましょう。
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テーマ:宇宙戦艦ヤマト2199 - ジャンル:アニメ・コミック

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2013/08/12(月) 21:51:18 | 北十字星