Old Dancer's BLOG
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宇宙戦艦ヤマト2199 第九話「時計仕掛けの虜囚」
 言外の「寓話」に満ちた、良質なショートストーリーでしたね。

 メインを張っているのはAU-09こと「アナライザー」と、鹵獲(ろかく、敵の軍用品・兵器などを奪い取ること)したガミロイド兵を再構成・再起動した「オルタ」との、コミュニケーションをテーマにした一連のイベント群なのですが…これが「キカイだけの物語」になっていないところが実にシブい。

 アナライザー=地球人が作ったAIと、オルタ=ガミラス人が作ったAIとの対話は、そのままそっくり、地球人とガミラス人との対話に置き換えが可能なんですよね。

 つまりは、今回のストーリーで語られている、この二体のコミュニケーションが「可能か不可能か」であるとか、この二体がトモダチとして「心を通わせられるか否か」といった命題は、地球人とガミラス人に対しても言える話なのですよ。近く、或いは今作全体を通していずれ語られるであろう、地球人とガミラス人とのコミュニケーションに係る前フリとしても今話は機能しているわけです。

 そう思って見るとですね、オルタが最後に辿りついた甲板上で、赤々と燃える星を背にして対峙するアナライザーとオルタのカットが、実に深遠な意味を持っている気がしてなりません。「トモダチ」になれたはずの二体が、あのような燃える世界=恐らくは戦火の暗示の下でしか再会できなかったこと、二体が延ばし合った手が繋がれた際にその間に通うのが「友情」ではなく「停止命令=一種の攻撃」でしかなかったこと、オルタが止まり飛散してしまった後にオルタのタスクレコード=心の残滓を手にして立ち尽くす「一人ぼっちのアナライザーの姿」が耐えられないほど寂しげに見えること…。

 ああ、もう、なんつーか、言葉にならんよね。旧作を最後まで知っている者としては、これだけで感無量なわけですよ。制作スタッフは本当に旧作のヤマトを愛しているんだなぁと、感動に震えずにはいられません。
 
 こと「コミュニケーション」という点では、他にもいくつか、いい感じの挿話や前フリがなされていて、物語に深みを与えています。

 そうですね、前フリとしては、「ガミラス人と同じ将棋が指せる」というのがわかりやすくもあり、この先のためにしっかり押さえておくべき重要ポイントですかね。アナライザーがオルタに関して言った「私たちは同じ存在です」というテーゼは、地球人とガミラス人についても言われるはず。その第一歩が、今話なんですね。

 オルタが逃亡中に伊東保安部長と真田副長との間で交わされる会話などは、前フリと挿話の両方の役割を持っていますね。前フリとしては、「私(真田)には、君(伊東保安部長)に心があるのかどうかさえわからない」なんてのが、今改めて見ると秀逸だなぁと。この伊東に関しては、何か含みのあるような、厭らしい感じの描写がちょくちょく出てくるんで、視聴者から見ても「何を考えているのかわからない存在」として描かれることが多いんですが、それも含めて先に繋がる事をあえて、しかも真田副長から言わせているのが実に良いです。真田副長自身が、古代から「機械人形」みたいに揶揄されていた、なんてのも思い返されて、二重三重に味わいがいのある部分です。

 また、挿話としては、「人間」という存在と「ロボット」という存在とが、意識の有無という点で違うのか同じなのか、そんな深い話が展開されています。これに関しては別なシーンで、アナライザーが真田さんから初期化の話をされた時の反応が、また良いです。「それは!………適切な判断かと」って、アナライザー、躊躇してますよね、絶対。もし機械に心が無いのなら、初期化されること=オルタとの交流を含む彼の記憶が無くなることを、厭うはずが無いんじゃないのかと。「ロボットにも心があるんじゃないのか」と思わせるに十分な描写です。

 もう一つ、コミュニケーションに関する挿話としては、Bパート冒頭の榎本掌帆長の行動がいい味を出していて好きです。事態を収拾するために彼は、本当は悪くないかもしれない部下をあえて激しく叱りつけて、航空隊の二人に頭を下げているんですよね。その行動のイキに気付いた古代がフッと笑うところまで含めて、実にいいサブセットになっています。どちらがいい・悪いという判断を別にして、人間はこうやって事態を収集したり、コミュニケーションを良好なものに復帰させる術をちゃんと持っているわけですよ。しかしまた、こんないいやり取りが常に交わせるわけではない、というのもまた事実で。着艦トラブルのさ中でも、篠原の必死の操縦によって致命的な衝突は回避されたのですが、あれだって「ギリギリ」でしたよね。

 その他、「自動航法室には何かありそう」とか「この船の女神って結局ナンなのよ」とかがありますが、この辺はまだまだ先に引きずっていきますんであまり多くを語らずに。また、今話での岬百合亜のちょっとした仕草や何かは、先を知った上で改めて見ると実に感慨深いのですが、この辺もそれ以上触れずに置きましょう。

 今話から変更されたEDがまた、「コミュニケーション」に関わる部分が多くてグッジョブですな。この辺は、いちいち語るよりも、個々人で異なる感慨の下に見て頂くのがよろしいでしょう。一点だけ語るとすれば、最後を飾るデスラーの大きさ、その不敵な笑みが、拒絶感満載なのがまた何とも…。

~~~

 ラストシーン。あの艦内ラジオを聴いていたのが真田副長だった、ということを示して今話は幕を閉じますが、するとあのラジオの裏に見えていたたくさんの本は、真田さんの蔵書なんですね。「アルゴリ(ズム?)」の何たらとか「量子力」のうんたらとか、そういう理系専門書と思われる本の背表紙がズラリと並ぶ中、右端に何故だか一冊だけ、「帰郷者 萩原朔太郎」なんて似つかわしくない本が置いてありますが…いやぁ、いいねぇ、これ。実にいい。今回改めて見直すまで全く気付いていませんでしたが、こんな前フリがしてあったんですねぇ。

 「帰郷者」という本が置いてあることには、初見時から気付いていました。ヤマトがいずれ地球へと帰る使命を帯びていることを示しているんだろう、というのが当時の認識だったんです。でも、今は全然違う思いが湧き上がりますね。「理系一辺倒のようなこの人が、何でこんな文学作品を読んでいるのか」ってことを思うとね、どうにもこうにも…。

 アナライザーは自分自身もオルタの事を「トモダチ」だと認識しており、自爆のブービートラップが作動した形跡が無かったことから、どうやらオルタもアナライザーの事を「トモダチ」だと認識していたのでしょう。でも、アナライザーはオルタを「見殺し」にすることしかできなかった。…うわぁぁぁぁぁ、なんつーことをこーんな前の時点でやってるんだ!大マゼランまで到達したら、是非この話を見直して、ここのモチーフで身悶えして頂きたい!ホントにね、身悶えるから!涙ちょちょ切れるから!

そして、こうも思いました。
私の心がこのようにあることは、
私だけの…秘密なのだから。


 真田副長の心がそのようにあること、その秘密である内容が何なのか…それを余韻として残しつつ、船は先へ進みます。次週も楽しみに。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:宇宙戦艦ヤマト2199 - ジャンル:アニメ・コミック

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