Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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氷菓 第二十話「あきましておめでとう」
 意識している異性と二人きりで、暗くて狭い場所に閉じ込められるハプニング…。


 都市伝説じゃねぇの?(爆)


 だって!だってだって、それなりに充実した青春時代を過ごしたと思ってるオレだけど、そんなうらやましいハプニングなんて出会ってないし!自分だけじゃなくて、自分の知ってるどんな人だって、そんな「嬉し恥ずかしいドキドキタイム」があったなんて、一度も聞いたことないし!


 もしそんなものが実在するなら…どうしてオレにはそれが訪れなかったんだ!(ぇー


 オレにも!オレにも杏と体育館に閉じ込められる嬉し恥ずかしハプニングを!(いやいや杏かよ、番組違うだろ、つーか妻帯者が今更何言ってんだよ…)
 
~~~


 前話に引き続き、隠れリア充と言って差し支えない奉太郎に向ける殺意に事欠かない一話になったわけですが。


 その殺意はいったん脇に置いておきまして。エピソードの枠組みとしては、視聴者が抱くであろう「期待」をあらかじめ提示しておいて、その「期待」通りにストンと落としてみせる、小気味良い小品だったと思います。


 「期待」の通りの部分と、「期待」を裏切る部分とのバランス取りは、なかなかに難しいものがありますよね。でも、ある程度はやはり「期待通り」を残しておくことは重要です。例えば、ですよ。京アニ作品を見ていてもうどうしようもなく泣けたエピソードについてですね、果たして京アニ信者のてりぃがどんな風にレビューに書いているだろうと思ってここに見に来た時にですね、



 どんぐわはあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぶわばらふんぬぐえうえうえうえ、うわはああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!



 ……って「書いてなかったら」、あれ?って、ちょっと肩すかし食らうでしょ?w 期待を裏切らない部分、期待に応える部分って、やっぱし大事なんです(いや、私が壊れる時は別に「期待に応えよう」と思ってやってるわけじゃないんですけどねw)。その、期待通りのところがある一方で、思っても見なかったパーツが提示されて、それでこそ揺さぶりが効くってもんです。

 そういう意味では、今話はとてもコンパクトな「期待」を軸にした構成に落とし込まれていて、しかも漫然とそれを描くのではなく、意図した緩急を以て視聴者を揺さぶる、実に見事な運びだったと思います。今回はその辺から辿っていきますか。


~~~


 アバンからして、今話は実にコンパクトでした。

 暗闇に、隙間からじわっと湧いてくるように光が射していって見えてくる様子。そこで、どういう事情があるのか分からないけれど、寒くて暗いところにえると奉太郎が閉じ込められているんだなと、そうわかるところだけを描写して終わっています。

 勘の良い人ならこのアバンとサブタイトルとだけで、「この閉じ込められた場所が無事に開いて『おめでとう』なんだな」とわかる作りです。これが、今話における「期待の提示」ですね。アバンとサブタイによって大枠を提示しているわけです。今話で描かれるものは、えると奉太郎が閉じ込められるまでの経緯と、解放されるまでのあれこれなんだろうなと、視聴者が受け止めたうえで本編に入るようになっているのです。

 この後もCMを挟んで、「アバンより前」と「アバンより後」の時間軸が完全に分けて配置されており、それぞれ実にコンパクトにまとまった印象をもたらします。これをどう感じるかは人それぞれでしょうが、私は感銘を受けましたね。収まりの良い構成は、それだけで眼福です。



 その後のAパートはまるまる、「えると奉太郎が閉じ込められるまでの経緯」に割かれました。アバンで描かれたあの時間軸に至るまでの、「経緯の振り返り」とも言えるパートですね。それでいて、登場人物の回想として語るようなモノローグなどの小技を入れず、淡々と経緯を追うだけの、シンプルな作りにしてあるのがなかなか良いです。

 これらは皆、既に「確定していること」ではあるけれど、モノローグ等の演出を避けることであえてそのように語っていない、「過去形としての何かを映像で示していない」ということになるわけです。アバンで提示されているのは、「閉じ込められた二人」という一点のみですから、あたかもリアルタイムで進行しているイベントのように、視聴者は一連の出来事を全て初体験のものとして見ていけるんですね。

 淡々と進行する「状況」。それが、納屋に近づくにつれて、僕らを落ち着かない気分にさせていきます。だって、「閉じ込められる」という結末が少しずつ近づいてきているのに、回想では無い「疑似リアルタイム」で動いているキャラクターたちは一向にそのことに気付きません。これが、途方もないギャップになるんですね。


 無防備に、納屋の中に入ってしまう二人…。


 ふいに、何気なく閉まってしまう扉…。


 納屋と蔵を間違えたことがわかっても、なかなかそこから出ようとしない二人…。


 もうね、「志村ー!後ろ後ろー!」の世界ですよね。そう思わなかった?いや、アニメ作品のキャラの行動にヤキモキしてもしょうがないんだけどさ、ついつい手に汗握っちゃうんですよ。上手いよなー、この辺。結果はもうアバンで示されているのに、いや、アバンであの結果を示されているからこそ、なのでしょう。

 これを「予定調和」と言うべきか否か。無事に(いや、無事じゃないけれども)、アバンで示されたとおりに、そして視聴者が期待したとおりに、二人は納屋の中で立ち往生と相成るわけです。



 そして続くBパートの構成も見事でしたねー。アバンの最初のカットと全く同じ所から入るのが、「ここから仕切り直し」という具合でいい感じです。言い換えればこれは、「ここまでで確定した時間軸は終わり」ということ、そして「この後は確定していませんよ」と、展開の不安定さ・不確定さを提示していることに他なりません。

 「仕切り直し」ではあるんですが、一方でサブタイトルから「解放される展開」を予測しているので、引き続き一定の「期待」が視聴者側に残っています。このバランスが見事ですね。最終的に開くのは間違いないけど、あのような完全アナログな閉じ込められ方じゃあ、一体どうやって脱出するんだろう?ヒントらしいものがこの時点で全く見当たらないのが素敵です(後からわかる伏線がいくつも張られていることも含めてね)。

 やがて、奉太郎は落し物を摩耶花に届けてもらうことで何とか気付いてもらえないか、という策を思い付くのですが、これがまたなかなか上手くいかないんですな。ああもう!気付いてやれよ!…この痛痒感を高めに高めて、最後に一気に畳みかけていくのが実にいい。Aパートと言いBパートと言い、この運びの巧さは職人芸ですなー。視聴者の「期待」を操ることにかけては、入須先輩もかくやという感じですね。


~~~


 さて、構成の良さは良さとして、その中に何が描かれているか、というのも重要ですよね。学校と全く絡まないお話は、放映話では第七話「正体見たり」以来、番外を含めても第十一.五話「持つべきものは」以来でしょうか。普段のフィールドを外れての描写では、普段の枠組みの中では見られない側面が提示されることが多いのですが、今話ではどうでしょうか。

 例えば、普段と違う女性陣の装いの華やかさと、それを見られる時の反応、というのがそれにあたります。里志に見られての照れがストレートに出る摩耶花もいい味がありますが、頬を染めながらも堂々と奉太郎に見せびらかしているえるもいい感じです。何と言いますか…この二人の、それぞれの「好意の形」が出ていると思うんですよね。摩耶花のそれは、自分にも相手にも判っている「好意」ゆえに、恥ずかしさが大きく出ているように見えます。一方、えるの方は…自分にも相手にも、少なくとも表立ってはオープンになっていない「好意」だと思うんですよ。だからですよね、摩耶花のようには照れることがありません。

 いやいや、えるには奉太郎への「好意」があるかどうかわからないんじゃない?という方もおられるでしょうが…そこは描写の鬼の京アニですから、しっかり出ていると思うんですよ。タクシーを降りたえるが、奉太郎を見つけた時のあの表情の変化!あれだけでもう「うわぁぁぁぁ…」って感じしません?「見せびらかしに来ました~」のあの腕をフリフリする様子とか、その後のちょっと上目づかいで奉太郎の表情を見るのとか、もう「好意」がバリバリに出てると思うんですよね。恋する女性の可愛さに溢れていて、悶死しそうです…。

 着物姿を見せびらかそうと思って出てきたえるの中では、一体どんな思いが膨らんでいたのやら。それを妄想すると、悶々度合いが更にグレードアップしますよ。きっと、奉太郎が着物姿を見てどんな反応をするか、想像してたと思うんですよね。そしてそれは、決して悪い予想ではないはずで、実際に奉太郎と会ってのあの表情は、「概ね期待通りだった」んじゃないでしょうか?うわああああああ、もうお前ら二人だけで好きにしろや!

 …奉太郎の反応~電話で「着物を見せびらかしたい」と言われた時に、足をいじってる手が一瞬止まるとか、えるの着物を見た時のドギマギした感じとか~に、あえて触れていないんですが…そっちの方面は今話に限らず何度も出てきている内容の延長&変奏ですから、今回は割愛。それよりもえるです。今回はもうえるの反応がすごく大事。いや、単純に「オレが男性よりも女性の方が好き」ということではなくてですね…。

 えるの「好意」は、前話と今話でかなり前面に出てきていると思います。それは、いきなり告白するような展開でもなければ、この後のラブコメ展開にストレートにつながるような伏線でもないんですけど、この「ゆらゆらと揺れる、この一瞬にしか存在しない淡さ」がね、いいんだと思うんですよね。その辺を描こうというのが、今話の意図の一つなんじゃないでしょうか。



 表層でえるが自覚できているかどうかはさておき、えるに「好意」が内在しているのだとすると。

 今話のおみくじの謎に答える、一つの仮説が成り立つと思います。

 おみくじの謎なんてあったか?と仰るアナタ。アバンで「こんなことになったのはおみくじのせいじゃないか」と言われ、Bパートでもわざわざ里志に「ここの(おみくじ)は威力がありそうだ」と言わせている荒楠神社のおみくじが、「奉太郎の凶だけ当たって、えるの大吉はハズレ」なんてことで済むと思います?おかしいんですよ、同じように二人とも閉じ込められているのに、奉太郎には「凶」でえるには「大吉」なんですもん。

 単純に、「えるは、好意を寄せる奉太郎と二人で閉じ込められて、内心はすごく嬉しかったんじゃないか」というのでもいいんでしょうが、もうちょっと何か欲しいところ。拾える部分が無いかと何度か見返すうち、あえて奉太郎に言わせたと思えるこんなセリフがありました。

(えるの)わがままじゃない、(オレの)責任だろ。


 これって、ねぇ。「オトコの子」がしてくれる行動としては、満点じゃないっすかね。嬉しいと思うんだよなぁ。

 奉太郎のこの発言が聞けたことを以て、えるの大吉を説明できるんじゃないでしょうか。そうすると、えるの「好意」が前面に出てきていることとも綺麗につながると思うんですよね。

 ただ、このセリフを聞いてのえるの反応が何か描かれているとパーフェクトだったのですが、残念ながらそれは無く。多分に「ちょっと行きすぎの邪推」の線が濃厚なので、そういうことでお含みおきいただければと。



 起死回生の一手で何とか脱出できた二人に、里志がニヤリと笑いながら、視聴者の期待の一言を言います。

あきましておめでとう。


 今まで閉じていたふたのようなものが「開いて」、少しずつ出てきているえるからの好意に対して「おめでとう」と言っているんじゃないか?なんてのは、更にやり過ぎでしょうか?

 まあ、いいよね。楽しめたモン勝ちです。きっと。

 えると奉太郎にも、この、今しかない貴重な淡い時間を、しっかりと楽しんでもらいたいものです。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:氷菓 - ジャンル:アニメ・コミック

コメント
この記事へのコメント
うーん。
私、「わがままじゃない、責任だろ」という言葉は、どちらも「えるの」だと思ってたんですが違うのかな。「わがままで言ってるんじゃなくて、家の名代としての責任感で言ってるんでしょ」ってことで、そういう「立場」をわかってくれた、というのもとても嬉しいことだと思うんで、これでも筋は通ると思うのですが。
2012/09/13(木) 21:08:07 | URL | けいりん #-[ 編集]
すでにコメントにありましたが、「責任」の意味はえるのワガママではなくて千反田家としての責任や責任感に思って見てました。

それにしても、奉太郎の「凶」のおみくじですが、「省エネ」の願い事をしてしまったら凶に成りますよね。えるとの仲を願えば大吉だったろうに。。。。
そう思ってよぉく見てみたら、奉太郎のおみくじって恋愛のところは「気持ちを強く持ちべし」、縁談は「時を待つべし」。
必ずしも悪くない。千反田家も関ることですが、覚悟をしさえすればよさそうです。

それにしても、何だってこんなとこまできちっと作りこんでるんでしょう。
これはブルーレイでも買って応援しないとなぁ。
2012/09/20(木) 19:45:36 | URL | のんの #-[ 編集]
むーん。
3ヶ月半もお返しせずにすみません。

>けいりんさん

>私、「わがままじゃない、責任だろ」という言葉は、
>どちらも「えるの」だと思ってたんですが違うのかな。

>のんのさん

>「責任」の意味はえるのワガママではなくて千反田家と
>しての責任や責任感に思って見てました。

あ、これはそっちの方がすっきり入ってきますね。私のは読み間違いっぽいです。お恥ずかしい。


>それにしても、何だってこんなとこまできちっと作り
>こんでるんでしょう。
>これはブルーレイでも買って応援しないとなぁ。


「これはいい」と多くの人が思ったものこそ、報われる世の中、ってのが私は好きです。そのためにも、自分がいいと思ったものを物理的に応援するという姿勢は、とてもいいことだと思います。

私自身もBlu-rayマラソンの真っただ中です。「2話収録でこの値段」というのが、財政的にも置きスペース的にも辛いところで、商品企画としては改善していただきたい部分がありますが、作品そのものには元より全く不満が無いので…。お金とスペースを工面しつつの日々でございます。頑張りましょう。
2013/01/02(水) 02:05:36 | URL | てりぃ #fH1m39MM[ 編集]
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