Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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氷菓 第六話「大罪を犯す」
 テーブルの向こうから身を乗り出して、こちらへ訴えかけてくる少女。


 …いやー、これ、なんつー天国なのさ。顔、すんげぇ近ぇーし。しかも、下から覗きこまれてさー。何故奉太郎がこんなに嫌がってるのか、オレにはとても同意できんなー。


 だって、すんげぇエロいじゃん!そこはかとなく!(ぅゎー


 横から眺めるあの絶妙な曲線の美も捨てがたいものがあるけれど、真っ正面から迫られる臨場感はもう、その人一人だけに与えられた特権みたいなもんでねーの?もったいないじゃないか!イヤならオレと代われ今すぐ!


 結論=色欲イクナイ。(ぇー…………
 

~~~


 さて。

 「××ある古典部の××」という共通のサブタイトルで括られた一連の長編エピソードを前回で終え、今回から数回はショートエピソードになるようですな。傍流エピソードと言い換えてもいいですが。

 この、ショートエピソード、もしくは傍流エピソードってやつが、なかなか侮れないんですよ。

 もちろん、長編エピソードは多くの場合、描写も凝ってたり深かったりと、大変見応えがありますし、テーマ的にも大事には違いありません。だけど、ショートエピソードだって、大事なものが含まれていることがあって、これを踏まえているのといないのとでは、長編エピソードの印象や捉え方に大きな差が出るものだってあるんです。

 例えば、エヴァンゲリオンで言うと第拾参話「使徒、侵入」とか。エヴァは全く活躍せず、新旧劇場版ともにカットされるようなエピソードですが、赤木博士がMAGIの成り立ちを語る際に垣間見える母親との微妙な距離感や、その母親が書き残したメモ=「碇のバカヤロー」に香るNERV創設世代の複雑な人間関係は、後に明らかになる重要なパーツを補完する良質な前フリになっています。

 例えば、一期ハルヒで言うと放映順第7話「ミステリックサイン」とか。「憂鬱」に含まれないばかりか「孤島症候群」の前後編に挟まれて放映されるなど、もう傍流感満載というイメージが強い回ですが、前フリという観点ではなかなか味わい深いんですよね。「長門が実は人知れず厄介事を処理している」ということをキョンが初めて認識するエピソードであり、ひいてはあの傑作「消失」に繋がっていく最初のポイント、と見ることさえ可能です。もちろん、二期になってから映像化された「笹の葉ラプソディ」が重要なのは言わずもがなですけれど、あっちは「傍流」とは呼べず、エピソードゼロ的な重要短編ですからね。

 …ちょっと話題が逸れ気味なので元に戻しますが…。

 よくできたショートエピソードには、そういう仕込み的な何かが含まれることが往々にしてあるわけです。今話にも、そういう何かの存在をところどころに感じました。


~~~


福ちゃんは怒るわよ。


里志は怒るぞ。


 へー、怒るんだ。でも、えると同じく我々も、映像上で里志が怒っているのを見たことはありません。

 摩耶花はAパート初っ端から、もうイヤというほど怒ってます。

 えるはアバン中で微かに聞こえてくる声で、或いはAパートでも里志たちにからかわれて怒ってます。

 奉太郎は「ほら、怒れた」と心中で語っている通り、怒ってます。あれを怒ってると呼べるのなら、ですが。

 今話で怒っている姿を全く見せていないのは、里志だけです。もちろん、前回までのエピソード中でも。これはひょっとして、「里志が怒る姿を見せてない」ということの強調のために、あえて他の3人が怒る姿を描いているんじゃないのかしら?

そのうち千反田が里志を怒らすためだけに策を弄することが、あるかもしれないなー。期待しておこう。


 「千反田が」というのは、ミスリードを誘っているという気もするんですが…里志が怒る時、というのは今後ありそうな気がするんですよね。奉太郎の分析によれば「見栄を張って誰彼構わず感情を出すことをしない」という里志が、見栄を張れずについ感情を表に出してしまうような出来事。来るべきそのエピソードのための仕込みを今回でやってるとか、如何にもありそうじゃないですか?


 里志の件にも見えるように、「これまでのエピソードでは必ずしも描かれていない、各登場人物の別な側面」というのを、今話では示そうとしているように思えます。そのためでしょうか、今回の彼らの行動範囲は、アバンを除けば部室の中だけ。まるで「舞台劇」のような小さな空間での描写とすることで、外界そのものや外界との関わりではなく、彼らの内面に関わるものが一層引き立つ、そういう構成が取られています。


 摩耶花については、中学時代から好きでいるという里志に対して、ここまで怒りをぶつけることがある、というのがそれでしょうかね。ちょっとむくれるぐらいは今までもありましたが、友達同士に過ぎない関係でもこんなけちょんけちょんに言われるんだ、というのは、意外といえば意外。もっと距離が接近して、恋人とか夫婦とかになるとあり得るとは思うんですがねー。摩耶花という子は、自分の感情の出し方にはあまり大きく制限をかけていないのか、言い方を変えれば表裏のあまり無い女の子なんですかね。

 一方、思ったことのごく一部しか外に出していない、という描き方がされているのが、主人公の奉太郎。というのも、今話において奉太郎は、モノローグがメチャメチャ多いんです。他の3人の会話を聞いていて、ちょこっと何かを思う。まあ、それ自体は誰でもあることですけれど、こうやって繰り返されることで強調されて見えてくるんですよね。奉太郎があまり感情を外に出さないのは、省エネ主義ってこともあるんでしょうが…「オレは怒れるぞ」とか「心の友を見つけたと思ったのに」みたいなことも結構思っていて。これらはちょっと可愛いというか、本人にとっては秘すべき感情だから、出していないのかも知れないんですよね。

 よくわからないのが、えるです。「わからない」というのは、どういう描き方なのかわからないのではなく、「よくわからない」という描き方をされている感じなんですね。あえて自分で抑えているわけではないのでしょうが、周りから見てあまり怒ったりする印象がない。怒ったりすることも確かにあるんだけど、その怒る理由が周りにも、実は本人自身にもよくわからないことがある。ふざけて天使に見立てられていましたが、ある意味、別次元の存在と言えなくもありません。別次元?誰にとって?

 そもそも何故、えるは「よくわからない」という描写にされているんでしょうか。

 そりゃ、奉太郎が主人公だから、ことさらにそうやって描写されているわけですよ。

怒らない千反田が怒り、その理由を知りたがった。
怒ることは悪いことではないと言いつつも、本当は、いつだって怒りたくなんかないのではなかろうか。
(中略)
千反田えるとは、そういうやつではないか。
…いや、オレは千反田の何を知っているというのか。


 ふふふ、青春だねぇ。7つの大罪に絡めて、何となく誤魔化しているような感じにはなっているけれど、えるという存在が気になるからこそ、その「よくわからないところ」を知りたいと思うのだし、知りたいと思えば思うほど「よくわからない存在」になっていくのだよねぇ。

 彼女とは遥か彼方の女と書く、女性とは向こう岸の存在だよ、なんて言ってたのはエヴァの加持さんでしたかねぇ。男の戦い、かぁ。

 そのことを更に補完・象徴するカットが、今話の終盤で二つほど。

 一つは、帰り際に「折木さんには助けてもらってばっかりですね」とお礼を言うえるの姿です。彼女の立ち姿は、左側にはやや緑色を帯びた窓の外の様子、右側には黄色がかった部屋の中の様子があり、その二つを完全に分断する形でえるは描かれているのですが…彼女の外面と内面の象徴に思えて仕方がありません。外から見て「こうではないか」と思っている色と、実際に中にある色とは、こうも全然違う。そういうことなんじゃないですかね。

 そしてもう一つは…部室から帰ることを促されて「折木さーん」と呼ばれる奉太郎の場面が、言外に色々なものをにじませているようで実に味わい深いのです。こちらを見返して立つえるの姿をしばし映した後、それをじっと見る奉太郎の姿が、こちらも少し長めの時間を取って映されています。彼女は奉太郎へと何を思って見返しているのか、それを見る奉太郎自身は何を思うのか。じっと見ていても「よくわからない」存在を前に、奉太郎はため息をついて帰路へと踏み出すのですが…。最後に彼が思う、「オレが犯す大罪は、怠惰だけで十分と言うものだ」という心のつぶやきは、彼女のことは結局わからないのだ、という諦念とも取れます。


 それは、知りたい、って感情がベースにあるんじゃないの?ねぇ?


 「人のことを知ろう」と思うことが罪ならば。この世界に生きるほとんどの人間は罪人です。


大体今日一日の間に、何度千反田に意外と思わされたことか…。


 その時々にわかることはわずかでも、そうやって人は人のことを少しずつ知っていきます。いつか彼らが気付けるといいですね。それは罪などではなく、大事な自分自身の「今」と重なるのだ、と。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:氷菓 - ジャンル:アニメ・コミック

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