Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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氷菓 第三話「事情ある古典部の末裔」
 45年前…。


 ……って、オレの生まれた年じゃねぇか!!(爆)


 ちょ、何だよこれ!「アンタ昔の人だねクスクス」って突きつけられたようですんげぇ切ないんですけど!こんなところで不意打ちで「ジェネレーションギャップ」を感じさせるとか、一体何のワナなん…。

 いやいや待て待て、いーや、マテ。45年前に高校3年生だった関谷おじさんは、つまりは生きていれば今63歳ってことだから、オレよりも一回り以上も上だ!オレよりももっと上の世代だってことだよな!ここで過去話として描かれているのは「てりぃよりも遥かに上の年代の人たち」ってことだよ!そっち側じゃない!オレ、そっち側じゃないよ!どっちかって言うと奉太郎やえるに近い方だよ!ほとんど同世代だよ!

 …ふぅ~。一時はどうなることかと思ったぜ…。(いやいやいやいや
 
 まあ、冗談はこのぐらいにしまして…。


 45歳のおっさんではない、16歳前後の高校生ともなりますと、その感情の甘酸っぱさはなかなか得難いものがありますなぁ(ため息)。それは誰もが通過する、言ってみれば非常に普遍的なもののはずなのに、すごく特別で、すごく刹那で、すごく愛しい。


 「好きだ!」


 とセリフで言わせることは可能でしょう。


 「オレは…この少女を愛してしまったのだと…」


 とモノローグで言わせることだって可能には違いありません。


 だけど…そうじゃあないんだよなー。そうじゃあないんだ、こういうのは。自分では明確にそうとは意識できていないかもしれない。もちろん言語化もできない。でも、はっと我に返ると、数瞬前の自分の感情の起伏に説明が付けられない。そういうもんですよねー、この思春期まっただ中の淡い思いというヤツは。自分ではそれに名前も付けられないし、むずがゆいんだけどそれさえも表層に上ってこないような…。

 …延々と、一体何のことを語っているのかって?もちろん、この氷菓第三話のアバンですよ、アバン。


 ほのかなピンクに染まった世界。まるで、自分の体を流れる血の熱さが、世界に伝わってしまったかのように。


 カチコチと音を立てて揺れるハート型の振り子。まるで自分の心臓が刻む鼓動の響きが、世界の全てと同期してしまったかのように。


 艶かしく映る唇の動き。


 響き渡る衣擦れの音。


 でも、そんな風にいちいち特別だった世界が、一瞬で全て「元の通り」に戻ります。何もなかった。何もなかったんだ。それを強調してやまない、アバンの最後を締める「さっきまでハート型だったはずの振り子」が…。


 いやー、素晴らしい!いつの間にかね、第一話や第二話ではあからさまに演出されていた「奉太郎の心象描写」に入り込んでいたってことなんですよね!そして、ミスリード含みではあるんだけど、あの瞬間は奉太郎も間違いなく意識していたわけですよ!

 そして、その時間は、長くは続かなかった。映像上も30秒無いような間なんですが、本人にとっては過ぎてしまえば本当に短い間です。ひょっとしたらもう二度と訪れないかもしれない、甘美な時間…。

 「全ては時の彼方へ流されていく」

 「全ては主観性を失って、歴史的遠近法の彼方で古典になっていく」

 第三話の終盤、文集の第二号で読み上げられる言葉が、そのまま「今」を生きる奉太郎とえるにも刺さってきます。例外なく、彼らの「今」もいつかは古典になるんですよね。私自身のかつての「今」が、今はもう誰かにとっての古典になっているのと同様に。

 すごく特別で、すごく刹那で、すごく愛しいものたち。そうか、だからこんなにも愛しく、切ないんだね…。


~~~


 尺がやや不足気味なのでしょう(OPが省略されていましたしね)、時間的な配分の難しさもあってか、短いカットがやや多めに感じた今回ですが…その一瞬一瞬の表現が、かなり意図的に行われていたように思います。あっ、と思った次の瞬間にはもう別なカットに切り替わっているんですが、それが逆に強い印象を残すんですよ。

 例えば、Aパートの以下のカット。

折木さん…私は、過去を言いふらして回る趣味はありません…。


こんなの…誰にでもする話じゃありません…。


 この、えるの二つのセリフの直後に、それぞれ奉太郎の表情が映るんですが…どっちもイイんですよ、実に。一回目の、はっと気付かされる瞬間の、わずかな動きを伴った表情。そして二回目の、少なからぬ後悔と謝罪の混ざった、普段の奉太郎がまず見せない「感情の伴った眉と口元」を含む表情。たまんないんですよね、もうもう…。これは恋愛感情とは全く違うんですけれど、でも「一人の人間に対してどう向き合うか」の転機の部分なわけですよ。言葉通り「気が進まない」状態だった奉太郎が、えるが自分を頼ろうとしていたことの重さに思い至って、その先にちょっとだけ進むきっかけなんですよね。

 この後に映る、二つのコーヒーカップの一瞬のカットも、なかなかいい味わいがあります。

 生クリームのたっぷりと乗った、えるの側に置かれたカップ(ウインナーコーヒー?それともココアかしら…)。そして、お代わりのコーヒーが入った、奉太郎のカップ。何かの対比ですよね、これ。考えていくと色々ありそうで、なかなか面白いです。クリーム入りの甘い女の子、苦味の先に立つ男の子、という対比とか。かき回すだけで一度も口をつけていないえるのカップ=内心は大きく乱れているけど一向に先に進めずに立ち止まっているだけのえるの象徴と、少しずつだけど順調に減っている奉太郎のカップ=徐々に変化を始めている奉太郎の象徴、とか。その二つを対面で向かい合わせているカットは、この二人の来たるべき相互作用を暗示しているのでしょうし、このカット一つでもお代わり三杯ぐらい行けそうな具合です。

 カップと言えば、条件付きの協力を申し出た奉太郎が、最後にカラのカップをつい手に取るカットもいいですよね。表面的~彼の行動の分析としては、「カラになったことを気づかないで持ち上げてしまうくらい、コーヒー自体は惰性で口に運んでいた」ことになります。一口も飲まずに真剣に話をしていたえるとは違う形で、奉太郎も真摯に対話していたということなんですよね。そして暗示的にも、これまた色々考えられて楽しいです。飲み干したってことは今回のえるのお願いを受け入れたことを表していそうですし、カラとは言ってもちょっとだけコーヒーの筋が底に見えるあの状態は…奉太郎が何か引っかかりを心を残している暗示だったりはしないんですかね?何かって、何?重荷を背負ってしまったことへの後悔?いやいや、そうではなくて、話が始まる前に奉太郎が囚われていたあの「言葉に出来ない感情の正体」への疑問?

張り切ってるわね。


 そんなことはない、と奉太郎は答えますが…へっへっへ、端から見ると一目瞭然な気もするんだがねぇ…素直じゃないんだから、もー。


~~~


 他にも、京アニ真骨頂!と思えるシーンがいくつかありました。Bパートの地学準備室の攻防も面白かったんですが、瞬間瞬間が印象的だった今話なので、やはりここは「タイミングが神がかっていた部分」を挙げておきたいと思います。

 例えば、地面を掘り返す幼いえるを見守る奉太郎が姉からのエアメールを見て、脳裏に姉の言葉~どうせやりたいことなんかないんでしょ~が響くという、彼の心象描写のシーン。このシーン自体も、CLANNAD AFTER STORYの第18話でのトイレで泣く汐のシーンなどを思い起こさせる、秀逸な演出だったと思います。そこに、間髪入れずに奉太郎が弾くカップの音で現実に帰る、あのタイミングの美しさよ。まさにカンペキって感じでした。

 もう一つ、一番最後の、あのカット。いや、「第二号」が出てきた時点で、きな臭いとは思っていましたから、創刊号がない、と聞いた時はやはりと思ったんですよ。予想はついていたんです。でも、あの間合いは!あの間合いは!「創刊号だけ、欠けてるじゃない!」という摩耶花の叫びから、「あ」というやや間の抜けた里志の反応を経て、ややの沈黙。続くアップのえるが、口元を両手で押さえて小さな悲鳴を漏らして!そしてそのままEDへなだれ込むというこの流れが、もう職人芸ですよね。わかっててもじわっと来ちゃう。


 一瞬で暗転する状況。


 もう古典になってしまった時代への糸口が、手先からするりと抜ける恐怖。


 こんなにも、「刹那」という時間は、儚く切ないものなのか…。



 解け始めた謎の先端が、新たな謎に繋がっていくように。彼らの道行きを引き続き見守りたく思います。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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テーマ:氷菓 - ジャンル:アニメ・コミック

コメント
この記事へのコメント
じぇねれ~しょんぎゃっぷ
わぁwww、同じ罠にハマっている…
あんなところに変な仕掛けナンカ要らないから…

それはさて置き…

>えるちゃんが頼んでいた飲み物

見るからにココアで正解なんじゃ…と思っていたです。で、先日原作がワンコインでお釣りがくる程度で買えるってことに気がついてしまったので買って読んでみたんですよ。正解は『ウィンナーココア』でした。

個人的には、あの手の古式正しい喫茶店の出すココアは、「ウィンナココア」と断らなくてもあんな感じだと思い込んでいたのですが…そういうことを知っているのも、同世代の通人なのかと少々ショックを受けた次第です。
2012/05/13(日) 20:51:16 | URL | きつねのるーと #aiMm5YXE[ 編集]
生クリームはおいしいけどカロリーがねぇ…
>きつねのるーとさん

>わぁwww、同じ罠にハマっている…

おやおやw ご同輩w

>えるちゃんが頼んでいた飲み物
>正解は『ウィンナーココア』でした。

あーあー、なるほどですな。言われてみれば、です。情報提供、ありがとうございます。
2012/07/14(土) 23:17:57 | URL | てりぃ #-[ 編集]
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2012/05/12(土) 23:24:14 | ゲーム漬け
ちょっと感想をアップするのが遅れました… 今回、アバンが長めでOP無し。 その代わり、えるちゃんから愛の告白がされるのではとドキドキしている奉太郎の気持ちの代弁として時計の振り子がハート形になっていました。ですが、えるちゃんからの台詞でそうではないこと?...
2012/05/13(日) 20:44:40 | 「きつねのるーと」と「じーん・だいばー」のお部屋