Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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けいおん!! #17 部室がない!
 部室の下を通っている、水回りの配管に「瑕疵(かし)」が見つかって。


 工事をするから立入禁止ってことで、練習をする場所もお「菓子」を食べる場所も無くなって。


 学校内ではどうにもならないから、「貸し」スタジオに行ってみて。


 やっと部室が戻ってきたと思ったら、今度は憂の調子がお「かし」くて。


 ええっと、し「かし」、ようやく「歌詞」ができて…えっと…「可視」化されたモチーフが、僕らレビュアーに「課し」ているものは…あううぅ。

 (…てりぃが語呂合わせネタに走った時は不調なんだぁ…。)

 (つーか、レビュー書けよ、レビュー…いつまでこんなことやってるんだ…。)
 
 さて。

 実際に今回、一度目の視聴では「あれ?もうオレが書く事、なくね?」って感じの印象でした。

 「部室がない」ってだけの話に終わらず、「いざ無くなってみて初めて大事なものに気付く」ってところに落ちてるわけですが、それ、作品中でも明示されてて、自然に流れてるんですよね。象徴とか何とかじゃなく、そのものズバリ。それ言うなよ!せっかくオレが書けるネタなのに!みたいな。←八つ当たり

 「体言止め」でないサブタイトルを持つ回としては、第11話「暑い!」以来の二つ目ですが…あの時に考察した、「ナマな思い」が強調されている風でもないし…。


 お手上げ?


 いやいや、そんなことはありませんですよ?見直すとあちこちの細部にわたって、色々なものが詰め込まれており、しかもそれらがきちんと繋がってて「過不足なし」だなぁと。むしろ、それらを繋いで一本のレビューにするのがしんどいくらいで。

 さぁて。何からどう書いていきますかねぇ…やっぱし、あのアバンのことから行きますか。


【個性と個性、そこに生まれる関係性】
 京アニのアバンには、全てが詰まっています。これまでも何度か触れたことがありますが、今回もその辺がとっかかりになりますね。

 最初に印象に残ったのは、唯の、みかん色に染まった手でしたが…。

 いやぁ、でもこれぁさすがに本筋に関係ないんじゃないか?www 少なくとも、ここから何かを紐解いていくのは、ムリがありますねぇ。じゃあ、これと別に、本筋の何かと繋がる部分があるかなと思ってみてみると、ちゃんとありました。

 部室が使えない、と聞いた時の、四人の驚く顔が。

 一瞬なんですが、バラバラなんですよね。何がって、この四人の、驚き方が。描写を全く同じにしても誰からもクレームなんか来ないような部分なんですが、それでもあえて四人を描き分けています。

 その中で、かなり白目を向いて、ひときわ大きく口を開けて…一番驚いていた感じなのが、律でした。


~~~


お前部長だろ。


 部長なんですよね、律。言うまでもない?いやぁ、そうだけどさ。でも彼女、普段は割とちゃらけてるところも描写が目に付くじゃない?申請モノを出すの忘れてるとか抜けてるところも多くて、唯と一緒にアホの子側に回ることも多くて…どっちかと言うと、部長っぽい威厳とか、あんまし表に出してないと思うんですよ。

 じゃあ、律は部長として不適格なのかと言えば…全然そんなこと無いんですよ。ちゃんと、部長してると思います。部の活動の流れとか、その場の牽引力を発揮してるのって、多くは律なんですよ。

よおーし、やるかああ!!

じゃあ、カレーからな!


 今話において、教室で練習した際の、律のセリフです。普段と違う場所ゆえに、そのままだと微妙に走り出さない雰囲気になりかねないような空気を、一発で切り替えてます。結構大変なんですけどね、この役割。だけど、大変そうに見えないくらい、自然にやってます。これは、律持ち前の性格ってのも当然あるでしょうけど…それだけじゃあ、ないよね?上記のセリフの直前に言っていた、しょーもないダジャレとか、流れを作るための前フリですもん、明らかに。

 澪が不調だったってことでみんなに募った歌詞の件も、言いだしっぺは律なんですよね。自分ではまともに書いてこないというのが、アホの子部長らしいと言えばらしいですが…見ようによってはこれ、他のメンバーを促すための方便にも思えます。いや、実際、律は歌詞とか書くのは得意じゃないんだろうけどさ、この状況で必要なのは「誰かがいい詩を書くこと」であって、「部長自らが詩を書くこと」ではないのよね。彼女の役割は、みんなに歌詞書きを促して、なるべくいいものを出させること。

 そう思うと律は、歌詞決めの件に関しては随分積極的に発言してるんですよね。ダメ出しも自ら全部してますし、期限を設けたり、空き時間を使って話し合いに持って行ったり。これは、ちゃんと自分のなすべき役割を果たしているんです。自分がやらなくても誰かに任せられること~例えば歌詞書きとか~はやらないけど、自分でないとできないこと~その場の仕切りとか~はきちんとやってます。恐らく、意識的に。

 こうして見ると、先の、一番驚いてる感じだったのが律っちゃんだったのも、あーあー、なるほどって思うんですよ。あからさまに表に出してないだけで彼女、部長としての自覚はちゃんとあるんですよね。一般部員としての「練習ができない!どうしよう!」という気持ちだけでなく、「どうする軽音部!どうする部長=私!」という気持ちがONしているんじゃないでしょうか。



 だから、第二音楽室が借りれなかった、と言って帰ってくるさわちゃんに、大きな声で物言いするのも、律なんです。お願いしますよ先生、と。生徒だけでは何ともし難い部分がある今回の件について、先生の助力を引き続き頼んまっせという、そういう含みを持つ言葉です。部長として、顧問に言わなければいけない言葉。それを、彼女らしい、「ちゃらく聞こえる振る舞い」に乗せて言ってるんです。さわちゃんもさわちゃんで、彼女らしいチャラさで、でもきちんと返しているのがまた良いですね。部長は部長として、先生は先生として、それぞれに「自分がこなすべき役割」をきちんとこなしているっぽくて。

 この二人の関係ってことで言うと、部室が使えるようになったってことをさわちゃんが伝えたあのシーンも、多くの含みがあって実にいいですね。まずは、何でさわちゃんはあそこをあの時間に車で通りかかったのか。偶然?なわけないと思うんですよね。彼女らを探しに行ってると思うんですよ。明確な根拠は何も無いですけど、偶然にしてはさわちゃんが車を止めたあの位置が、すんごく妙です。彼女らのかなり手前で気付いて、かなり前に止めてる。しかも、ブレーキのかけ方が、何かもう確信に満ちてますよね?ううん、こればっかりは車を運転しない人には分かりにくいかなぁ。目標が定まってて、その目標めがけて真っ直ぐに走って行って、目標通りピッタリ止めてる、そういう止まり方なんですよ。あれは絶対、彼女らを探して行った走り方、止め方だ、そう思います。

 となると、「翌日に伝えても間に合うような『部室が使えるようになった』という件を、何でわざわざ車で伝えに行ったのか」って疑問が出てきます。それは…機材を運んであげようという気持ちと、「なるべく早く教えて安心させてあげよう」という思いの現れ、なんだと思います。旅は終わった、という律のセリフに「大げさね」って返してますけど、さわちゃんはわかってるんですよ。この時期に部室が使えないことの大きさを。「大げさね」って言いながら、それが大げさでも何でもなくて、彼女らにとって一大事なのだということを、ちゃんと理解している。理解しながらも、表面的にわたわたするではなく、でも顧問としてなすべきことはきっちりと、さりげなくこなしているわけです。作中では語られてませんが、工事がなるべく早く終わるように業者さんに掛け合ったりとか、そんな動きをしていたとしても、全然不思議じゃありません。

 そんな包容力というか、名顧問ぶりをさりげなく発揮しているさわちゃんの車に。

 誰よりも先に、真っ先に走って行ってるんですよ、律は。

 これって、すごいと思うんですよね。だって、表立ってはこの二人、何もそれらしいことは交わしてないんですもん。律っちゃんはさわちゃんにブー垂れただけ、さわちゃんは律っちゃんにちゃんとやってるわよと反論しただけ。部室の件よろしくとか、あいわかった任せなさいとか、そんなやり取りはどう探してもないのです。でも、それぞれにこなすべきことはちゃんとこなしていて、「さわちゃんがわざわざ来たってことは何か進捗があった?」って動きを、律にさせてるんですな。何という言外の信頼関係かと。

 実はOPでも、それらしい含みの映像描写があります。

 みんながさわちゃんに抱きつくとこで、律は一番か二番ってくらいに飛びついていってるんですよ。しかも、それはもうすんごい笑顔で。

 和、憂と純ちゃんに抱きつく時には、唯が率先して行っています。まあ、和も憂も唯のすごく大事な人なので、そういうもんかなと思ってましたが…冷静に考えると、「さわちゃんだけ扱いを変える」理由がない。別にさわちゃんだって、同じ順番にしても良かったハズなんです。だけど、ムギと先を争うようにしてさわちゃんに抱きつきに行っているのは唯じゃなくて、律なんです。

 これは、「唯がさわちゃんを苦手としている」ってわけではないんでしょう。むしろ、「部長と顧問という関係性を持つこの二人の固有の距離感」を描こうとしてこうなってる、そういうことなのではないでしょうか?

 思えばこの「けいおん」のアニメシリーズは、一人のキャラクターを特化して描くエピソード、それを単回に切り離してやる扱いはほとんどしていません。唯一それっぽく思えるのは二期第三話の「ドラマー!」くらいですが、それとて律のみを描いた話かと言えば、そうではない。律が何か動くことで回りも動く、それらがどう動くか、そこに何があるのか、それを描いているんですね。

 人を、描く。そこに留まらず、人と人との関わりの中に生まれるものを描く。このけいおんアニメシリーズは、そういうシリーズなのだと改めて思うのです。

 「人と」?ああ、すいません、「人と」だけでは無かったですね。「部室がない!」とこんなにも困るんですから。



【人と物、そこに生まれる関係性】
 澪はスランプだそうです。動物ネタに走る時の澪は不調だと、そういう風に律が言い切っています。

 だけど。動物ネタであっても、いい詩が書けてれば別に問題はないと思うんですけどね。ここで視点をちょっと切り替えてみます。何故動物ネタはダメなのか。中身がどうとかではなく、メタ的に。

 動物って、このけいおん!の中では決して多く出てきません。トンちゃんくらいですかねぇ、彼女らと深く関わる形で出てくるのは。つまり、彼女らと、澪が書こうとしていた詩に出てくる動物たちとの間には、「関係」が生じないわけです。

 ま、梓の書いた「トンちゃんの歌」もダメ出しされてますから、ちょっと弱い視点ですけどね。あっちはあっちで「あまりにも固有名詞過ぎてダメ」ってことなんでしょうけど。


~~~


 動物であっても、人との間に何かを生じるのはちょっと難しいです。


 これが「モノ」になってしまうと、一層難しくなります。

 第6話「梅雨!」で描かれていたように、ギー太はモノを考えません、持ち主に何も反応を返しません。それと一緒で、部室もモノを考えません、部員に何も反応を返しません。無機物だから、こればっかりはしょうがない。少なくとも、人間は物理的な意味では無機物と対話できません。動物よりも一層、没交渉。

 じゃあ、その無機物と人との関わりは、何の意味も産まないのか?そんなことは無いんですよね。ギー太と唯の関係を見ていれば明々白々ですが、モノに対する思い入れの強さやら、一緒に過ごした時間の長さやら、そういうものに比例する格好で、その間に存在する「関係」はどんどん高まっていきます。それは最終的には不可分になるくらいに、その人の大切な時間を彩る重要なパーツとして根づいていくんですね。

 ギー太なしには唯の高校生活は存在し得なかった、というくらいに。

 だから同じように、この部室なしには、HTTの大切な時間は存在し得なかっただろう、とも思えるんです。

 今回は他にもいくつか、「部室って何なの」という部分を強調するように思えるモチーフが挿入されていましたね。



 憂が風邪をひくエピソードが終盤に置かれています。

 時間にして、ほんの数分のものなんですが、やたらと位置付けが重いです。「部室がない!」というサブタイトルと直接には絡まない部分だからでしょうか。それとも、部室の問題が解決したあとの、終盤の重めのところに配置されているせいでしょうか…。ちょっとバランスを崩しかねない、そういうパーツになっていましたが、これ、ここに置かれた意味がきちんとあるはずです。もちろん、唯が書く歌詞の裏付けとして、ってのはあるんですが、それ以外にも。

 憂は人に対して、ちゃんと反応を返します。感謝の言葉も口にすれば、笑顔で笑ったりもします。だから、その関係は温かい。一方、部室は人間に対して反応を返しません。話すこともないし、笑うこともない。じゃあ、その関係は温かくはならないものなんでしょうか?

 いなくなって初めて有難みが分かる、部室と憂。それらはともに、大切なもの。これが並列して置かれていることで、「これらは同じものですよ」という含みがある気がしてなりません。そこに私は、直接は反応を返すことがない部室であっても、その部室との間に生じているものを、人は温めていけるのだ、という救いがあるように感じるんです。



トンちゃんは教室に置いたままでいいんじゃない?


 おかしな部分ですよね。そりゃそうだ、練習場所を探してさまよっているのに、何だってあずにゃんはトンちゃんを運ぼうとしたんだろう?それほどまでに、あずにゃんはトンちゃんのことを思っているんですな。同じ部員として、或いは後輩として。ひょっとしたら、自分自身の写し身として。

 だけど、それだけ、ではない気がします。

 部として活動する場所ならば、そこにトンちゃんがいないと完成しないんですよ。トンちゃんまでいて、お茶会とかやってて、それでこそ彼女らの部室なわけです。だから、ついトンちゃんも連れて行きたくなった。そこに、彼女らが「部室」に対して求めているものが、ちらっと見える気がするんですよ。

 それは、練習をするだけの「場所」ではなくて…彼女らの大切な時間を包んでくれるフィールド、世界の一部なんですね。



「部室どうなってるかなぁ?」

「え?」


 唯がつぶやく一言に、ちょっと意外そうな顔で反応するあずにゃんの描写がありました。つまりは彼女、そういう発想がなかったんですよね。あずにゃん的にはこの時は、「次の練習、どうしようか」って辺りだったんでしょう。それが、いきなり想定外の「部室がどうなってるか」という言葉を投げかけられて。ここに、唯と梓の思っていることの差があって、そのギャップをあえて描こうとしている様が見て取れます。

 唯の視点って、ちょっと独特なんですよね。人がしないようなこともよくやりますが、人が気付きにくいことにもよく気付きます。風邪を引かないようにってみかんばっか食べたりもしますが、こういうことにもよく気付く。「部室って、ただの練習場所じゃなくて、大事にしなきゃいけない大切なもので、それは私たちの部活の一部で…」って、声に出して言ってはいませんけど、そういう含みのある部分だったと思います。

 はまったら突き進んで、手まで一色に染まってしまう…そんな唯ならでは、ですよね。


~~~


いいんだよ、毎日ここに来ていいんだよ!


 ようやく部室に帰れた唯の、喜びの一言です。

 …でも。まもなく、毎日来られなくなる日が来ます。作品世界中では、半年ぐらい後に。見ている僕らの時間では、あと一月半くらいで。彼女らの卒業とともに。

 一色に染まったものも、いつかは色が落ちていってしまうものです。…ああ、その時のことを思うと、やっぱりちょっとセンチになっちゃいますね。

 でも、今は、今だけは。得難いこの時を、この人たちとこの場所で過ごせる有り難さに身を委ねて…。「思い出なんていらないよ」「まだちょっと遠慮したいの」と。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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2010/09/26(日) 04:09:10 | 「きつねのるーと」と「じーん・だいばー」のお部屋