Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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けいおん!! #8 進路!
 どうしてそんなにノロいのか…。


 …今回は、非常に個人的な理由により、没入するのにメッチャメチャ時間がかかりました。その「個人的な理由」とは…中三の私の息子が今まさに「進路」の問題に直面してまして…ナンか微妙にフラフラしている彼の様が目の前にチラついてチラついて…ああいかんいかん、これは娯楽作品なんだフィクションなんだエンターテイメントなんだ…晴れない…これじゃ気が晴れないよぅ…。


 もしもし唯よ、唯さんよ…。


 進路、なぁ。どうやって決めたかなぁ、オレの時は。進学も就職も、そんなに大きく悩まなかった気がするんだが…さくっと決めたオレの例なんて、あんまり参考にならんなぁ。もっとも、進路の決まり方なんて人それぞれだしなぁ。オレがこう決めたから、って話なんて、他の人の参考になるとも思えんし…ああいかんいかん、何でまた息子のことを考えてるんだ…晴れない…これじゃ気が晴れないよぅ…。
 
 …私の息子の話はさておきまして。


 不思議な回でしたねぇ。ホントに。


 サブタイトルが「進路」なのに、進路決めないまま終わり。これはけいおんアンチの方々にしてみれば、格好の標的になりそうですなぁ、「中身ねぇ!」って。実際、彼女らのストーリーとしてナニが進んだんだと言えば、そりゃあ全く何も一切進んでいない、と言わざるを得ませんから。

 もちろん、「ストーリーが進まない」=「面白くない」なんてぇ方程式は、けいおんに限らず、一般的にいつも成り立つわけではないんですけどもね。

 「けいおん」は、どちらかと言うと「ストーリー牽引型」の作品ではありません。これが更に甚だしいと、「らき☆すた」みたいに完全な「キャラクター偏重型」ってところまで行っちゃいますが…それに比べると、まだしも緩いストーリー上の要請は残っていますよね。最低限の指向性がストーリーの大枠として用意されていて、それに沿って個々のキャラクター性と相互の関係性が描かれる、そういう回が多いんじゃないかな。だから、「今回はどこを指向しているのか」「描かれようとしている個性は、描かれようとしている関係性は一体どこなのか」にフォーカスできるかどうか、漠然とでも(或いは無意識下にでも)気付けるかどうかで、評価がまるっきり変わるんじゃないかと。


 ああ、何か話題が逸れました、っつーか、全然今回のレビューじゃないですね、すいません。


 今回、第一印象で不思議だなと思ったのは、表面的には「唯の進路を決めなきゃってハナシ」のように思えるのに、そうですねぇ、体感的には三分の一ぐらいありそうなかなりの時間を「唯たちの過去話」が占めてることなんですよね。もし、唯の進路を描くべきストーリーなのだとしたら、これほど理不尽なものもありません。でも、逆に考えると…すなわち、今回が「唯の進路を決める過程を描く話」なのではなく、「別な何かを浮き彫りにするための話」なのだと思うと、見え方がまるで変わってきます。

 じゃあ、一体何を?…という辺りを切り口に、今回はつらつらと書いてみることにします。



【律と澪、和と唯】
 と言いつつ、まず先に、上記に入らないメンバーのことから触れていきますが…。

 紬と梓、ですね。

 この二人、けいおんのメインを占める五人に含まれるにもかかわらず、一期から通して今まで、ほぼ一切の「過去話」というものが描かれません。その理由ははっきりしていて、要すれば語り部になるべき第三者を持たないから、なんですよね。律と澪、和と唯は、それぞれが互いに幼馴染ですから、その視点でそれぞれの過去を描く機会が生まれるわけですよ。ところが、紬にも梓にも、作品中ではそういう存在がいませんから、過去のエピソードがなかなか出てこないってことになります。今回のさわちゃんの過去みたいに、あえて本人から聞き出す機会でもない限り、表に出てくることは殆ど無いんですね。本人たちのモノローグや回想待ち、ってことなんですが、果たして今後そういうエピソードが有るかどうか…。

 一方、このことには別な側面もあります。この二人は本人たちの過去が描かれないだけでなく…紬は、そして梓は、軽音部の他のメンバーについて、高校に入ってからの経験でしか相手を知らない、ということなんです。律と澪が、そして和と唯が、言外に理解できる何かが間に存在しているのに対し、紬や梓は他のメンバーとの間にそういうものを持ち合わせていない、或いはあったとしても少ないってことになります。

 今話で彼女らが見せているちょっとした態度も、それを適確に示していますね。例えば、Aパートで唯と律が呼び出しを食らった後、唯について語る和、律について語る澪を見て、紬ってメチャメチャわくわくして、こう言うんです。

「その話の続き、部室でしない?」


 何でムギがそんなに張り切ってるんだ?と澪に突っ込まれていますが、紬にしてみればこれはむしろ当然で、「私の知らない唯ちゃん・律っちゃんの話をもっと聞きたい」ってことなんだと思います。やればできる律、集中力はすごい唯、そういうものを紬だって少しは知っているはずですが、それはあくまで紬が高校に入ってからの話で、せいぜい二年とちょっとというくらい。でも、澪や和が知っている律・唯は、小学校や幼稚園からのキャリアがある。10年とか15年のスパンで、相手を知ってるんてことでしょ?そりゃあ、興味あるよね。ここからは間接的に、「紬が如何に軽音部のメンバーを大事に思っているか、もっと相手を知りたいと思っているか」なんていうのも香ってきて、そこが見えるようになると実に微笑ましいわけです。

 実は、この紬の視点というのは、今回は僕ら視聴者の代表としても機能しています。「高校に入ってからの時間しか知らない」ってのは、僕ら視聴者も一緒でしょ?今まで知らなかった唯の、今まで知らなかった澪の、興味深いエピソード。そういうものが、紬の牽引によって、たくさん出てきているのが今回なんです。


~~~


 さて、個々の相手に対する付き合いの長さ=キャリアの違いは、こんな部分からも見えますね。

和「でも、あの悪気のない笑顔を見ると、何故か許しちゃうのよね」

紬「わかるわぁ…」
澪「わかるわぁ…」

梓「そんなもんですかねぇ…」


 同級生・下級生という違いもあるでしょうが、唯とは1年ちょっとしか付き合いの無い梓、2年ちょっとの付き合いがある紬・澪、15年もの付き合いを誇る和の差が、しっかり出ていると思うんですよね。付き合いの長さが戦力の決定的な差ではないでしょうが、このぐらいの差が出てしまうことは当然あり得ます。またこれは、これまでに描かれてきた彼女らの関係と、ぴったり合うんですよ。



 「付き合いの長さによる違い」という視点からはちょっと遠くなりますが、個々の関係性を表したやり取りとしては、以下の会話も実に興味深いです。

梓「また何かやっちゃったんですか」

和「また?」

紬「あ!…ちょっとね、
  進路のことで相談があるみたいなの」


 面白いですよねぇ。唯たちに対して「しょうがないなぁ、先輩は」的なフィルターがかかっていて、でもやや諦めがちな風の梓。問題を時折起こす唯のことをよくわかっていて、でも同時にそれを細かく心配し、常にフォローに回る役回りの和。解決すべき問題の所在を唯=個人に感じることはせず、唯と梓、唯と和、それぞれ大事な誰かと誰かの「関係」に重きを置いていて、齟齬や問題が生じそうになると真っ先にその修復に当たる紬。こんな短いやり取りなのに、彼女らが個々にどう考えているか、唯に対して、周りに対して、どういう認識でいるのかって辺りが、ばっちり出ているわけです。



 主に律視点で語られる、澪の過去。

 実はそこには、「律の過去」とか「律の個性」も見えてきているんですが、そこは今回は省略させていただいて…澪が、どうしてこの作文のエピソードを嫌がったかってところが、はっきりとは語られてないんですよね。そこはある程度想像で補うしかないんですが…内向きに一人で行き詰まってしまい、そこで閉鎖していた自分が恥ずかしい、って辺りが妥当な気がします。今よりもずっとおとなしく内向的で、恐らくは「何でも相談出来る友達」とか、いなかったんではないですかね?

 それが、律との会話で思わず「大きな声も出す自分」を表に出してしまったり、律の助け舟によって「とてもやれそうに思えなかった難事」をこなすことができたり、そんな大きな変化が澪には訪れます。そして何よりも、自分の困ったことを相談したり、楽しいことを共有したりできる「友達ができた」というのが、一番大きいのではないでしょうか。

 この「律と澪」との触れ合いがなければ、澪の今は無かった筈です。もちろん、律の今も、この軽音部だって。



 人と触れ合う。関係を生じる、相互作用が生まれる。そのことで、自分が変化する、先へと進む道が見える。これって、大事なことですよね。



 それぞれ一緒に過ごしてきた時間の違いによる、見え方の違い。関係性の違いによって生じる、接し方の違い。それらが、「その人はどういう人であるのか」「その人はこの先をどういう風に歩いていくのか」を示している、緩くつながっている…そんな感じで紡がれているのが今話「進路」なのではないでしょうか。



 だから、「主に唯の進路」をテーマにした今話にあっては、かつて交わされた「和と唯との触れ合い」の回想が主体になっており、そのことで「今の唯」というものを、そして「これからの唯の道」につながるものを、示そうと意図されている気がするんです。




【亀の歩み】
 二期に入って、割と頻繁に引用されてきた、「ブタ」のモチーフ。

 それが、今話ではとうとう一度も顔を出しませんでした。

 まぁ、「ブタ」が何を象徴するモチーフとして出ているのか、って辺りも、今ひとつ絞り込み切れてませんけれども…私の今の考えでは、「決してスマートではなくて」「ちょっと不恰好でダメな感じで」「だけど愛嬌のある憎めない」…大体そんな属性が、「ブタ」に象徴されているのかな、と思っています。

 それが、今話では出てきていません。今まではむしろ不自然なくらい繰り返し出てきていたのに、今回はあえて封印したのではないか、というくらい、徹底して排除されています。「ダメだけど憎めない唯」の回想は、いっぱいあったのに、どこにも「ブタ」がかぶせられていないんです。

 その代わりに今回は、懐かしい一期の通奏低音とも言える、あの「亀」のモチーフが何度か繰り返して描かれました。

 中でも爆笑したのが、古文の助動詞の覚え方のところ。…これ、自分ではやった記憶がなくて、最初は、あれ?自分ではどうやって覚えようとしたんだっけなぁ、とか思っていたんですが…メロディが「もしもし亀よ」なのはいいとして、唯のバックに流れる映像がwww最初はちゃんと「ウサギとカメ」なのに、何で途中から「浦島太郎」になってるのよwwwwしかも最後、「鶴は千年、亀は万年」って、全然関係ないし童謡ですら無くなってるよwwwww

 本来進むべき道を進めず、途中からわけわかんなくなってあさっての方向に暴走しちゃう。そんな唯の様子がセキララに見えちゃうようなシーンでしたが…ここの「亀」の使い方はむしろイレギュラーで、「亀」と言えばやっぱりその歩みの遅さが一番の特徴に思い浮かびますよね。



 アバンでは、亀と戯れているあまり、おさんぽに遅れそうになる幼き唯の姿が描かれます。

 どうしてそんなにノロいのか?

 そりゃまあ、いらんところに寄り道しちゃって、そこにいらん集中力発揮しちゃったりするからなんでしょうけど…。そんな唯が、「憎めない」ってのもわかる気がしますよね。また、遅れそうになると、和が助け舟を出してくれて、っていうのも、この当時も今も変わらずにある、そういう光景ですよね。これら一連の、「今話で描かれるべき、唯にまつわる部分」が、この短いアバンにほぼ全て表現されています。



 決めなきゃいけない、自分の進路。他のクラスメイトが全員提出しちゃったのに、未だに出してなかったというのも驚きですが…その後も延々と、決められないままに時間が経っていきます。

 おいおい、ヤバいんじゃねぇの?

 リアルに自分の息子で似たような思いを抱えている我が身としては、そりゃもう気が気じゃないんですが…少なくともこちらの作品中では、「何とかなるだろう」という雰囲気もありますね。もちろん、リアルの方は同様に安心してしまうわけにいかないので、個人的にはなかなか微妙なライン上ですが。(^^;

 唯の将来に気を揉みながら見ていたのに、それまでとちょっと異なる印象を受けるカットの一つは、「ミュージシャン」志望にダメ出しをした後の、さわちゃんの表情です。唯たちが職員室を出ていった後の、すごく優しい笑顔。なんでしょうね、これ。「やれやれ、しょうがないなぁ」という顔ではないと思うんですよ。何かを肯定している、そういう顔に見えます。

 「進路のことはさておき…
  大事なものはちゃんと見つけているのよね」

 そんな表情に見えませんか?

 進路指導の調査に、「ミュージシャン」とか書いちゃうのは、教師としてはやっぱ叱らんといかん、指導せんといかんハナシです。だけど、少なくともさわちゃんは、唯たちにとって軽音部として過ごした時間が如何に大事なものであったか、彼女らの「生」にとって大きな位置を占めているかを、ちゃんと理解してくれてるんじゃないでしょうかね?唯たちが単に不真面目で「ミュージシャン」と書いたわけではない。進路調査にそんなことを書いちゃいけないってことがわからないだけだろう…そんな感じではないでしょうか。



 ダメな唯のエピソードが多い回想の中で、一箇所、おやっと思ったところがあります。和と唯が初めて会った時の話を聞かれて、和が話し始めたお絵かきのこと。ここで、当時の和が、こう言うんです。

「唯ちゃん、もうできたの?」


 早い。

 そう言ってます。

 おかしいんですよね、ここだけ。「遅い」ってことが「亀」であらかじめ示されていて、話題も「進路がまだ決まってない」ってことになってるのに、何でまたここだけ「早い唯」が描かれているのか。

 そう、唯は、「集中力さえ発揮できれば、ダメでもないし早く行動できる子」なんですよね。つまりは、今は遅れに遅れていても、ちゃんと追いつける可能性がある、ってことです。何より、「ウサギとカメ」のあの亀は、歩みこそ並より遅いけれど、着実に歩いていってちゃんとゴールするんです、レースに勝つんです。



 遅ればせながら、クラスメートに進路を聞いてまわり、自分の進路も決めなくちゃと自分なりに頑張る唯。学校階段の手すりの亀に、手を滑らせます。亀が登ろうとする方向に沿って、「遅いけど、お互い頑張ろうね」とでも言う具合に。

 そして、ラスト。未だ進路の決まらない唯に、心配そうな目を向けていた和が、何度目かのダメ出しとともに職員室から出てきた唯を見て…それまでとちょっと異なる、優しげな目を向けます。ここで彼女は、やはり手すりの亀をなでるんですね。向きは唯とは逆。亀が進もうとしている方向から、つまりは、先に行っている者が、後から遅れて来ようとしている亀=唯に、投げかけるような形になっているわけです。もちろん、そこで投げかけられている言葉は…「頑張れ」、ですよね。
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2010/06/13(日) 02:19:11 | おい、ちょま、まてよ(゚Д゚;)!!