Old Dancer's BLOG
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「涼宮ハルヒの消失」のサントラに込められたもの
 売り切れ状態から、通常1~2週間で発送、までは回復してますな。てか、今から頼んでも、封切りには間に合わないかも知れないのか…。

 劇場版 涼宮ハルヒの消失 オリジナルサウンドトラック

 こういう商品の購入は、毎回ホントに悩みどころです。地場のリアル店舗の方が値引きが良い、とわかっていても、予約しない限りは売り切れのリスクがあるし。かといって、予約してしまった後に熱帯雨林が値下がりしないとも限らないし。確実性を担保するのか、それともあくまで財政状況を優先するのか…ヲタの道はなかなかに迷い道ですよ、ふぅ。


 さて。

 宣言してしまったことを、軽く後悔し始めてもいるのですが(^^;、サントラの曲目に関して、事前邪推考察記事を書いてみたいと思います。
 
 こちらのサントラ、2枚組です。収録時間は、83分前後というところ。

 …まず、ここからして妙です。CDのフォーマットは、頑張れば80分ギリギリまでは何とかなるサイズ。だから、通常のサントラなんかだと、「未収録曲」というのが大量に出て、それで1枚に収めたりするわけですよ。だって、その方がコストが安いもの。ましてや、収録曲数の1曲や2曲くらいなら、例え減ったところで売り上げにそうは影響しないでしょうから、商売優先なら「…これなら、何とか一枚に収められないかね?」という話が、絶対に出るんじゃないですかね?

 でも。今作は、それを押し通しています。いくらオリジナルBGMのDisc1、サティのピアノ曲集であるDisc2というコンセプト上の要請があるとは言え、「あと1~2曲削れば絶対に一枚に収められるはず」のこのサントラを、どうしても2枚組に、と。

 しかも、その中の一部は「劇中で使用しないであろう」なんて言葉さえ、ライナーに載っているのに。

 価格も、通常の1枚組の価格と言える、3,300円に抑えて。

 …それでも、この形で出したかったんですよね、この人たちは。そこに、制作陣や音楽担当の皆様の、この作品への思い入れや、注ごうとしたこだわりの一端を感じ取ることができます。


~~~


 そして、通常なら削っても仕方がないのに、削りたくなかった最たるものが、Disc2に収められたサティの作品群なのだと思います。だって、BGMに使用しないかも知れない、とか言ってるんですもん、自分たちで。そりゃあ、何かあるでしょう、あるに違いない。

 改めて、Disc2の曲目を見てみます。

 「ジムノペディ」が、第1番から第3番までの3曲。

 「グノシエンヌ」が、同じく第1番から第3番までの3曲。

 そして、メロディを聞けば多くの人が「ああ、知ってる」と言いそうな有名曲、「ジュ・トゥ・ヴー」の1曲。

 合計7曲という構成です。演奏時間は、合わせて22分半あまり。これまたハンパだな!単にサティの曲に触れてほしい、ってだけなら、もっと入れたって良さそうなものなのにね。…つまりは、「これで、必要にして十分」という曲目なのでしょう。ここから何かを引くことはできないが、これ以上の何かを足す必要もない、という。

 一期放映終了時から今まで一貫して、世間の期待はあり得ないほどに高く、それに応えるべく尋常でないリソースが注ぎ込まれているやに見える劇場用作品「涼宮ハルヒの消失」。その作品の一端を担い、映像と合わせて僕らに何かを突きつけてくるはずの、サウンドトラック。その中に収められた、直接は使用しないかもしれない、エリックサティのピアノ曲、7曲。それはやはり、「『消失における何か』を背負ってもらうべき曲」なのだと思います。


~~~


 「ジュ・トゥ・ヴー」。意味、お分かりですよね?Je te veux.「あなたが欲しい」と訳されるのが、日本では多いですね。先にも触れましたが多くの方がご存知の、有名なワルツです。

 そして…この曲、消失のBGMとして使われる可能性が、現状では最も低い曲なんじゃないかと、私は邪推しています。その理由は、ライナーに書かれた、神前さんの言葉によります。「このCDにはエリック・サティ作曲のジムノペディI~III、グノシエンヌI~IIIが収録されている。これらの楽曲は勿論映画内で使用されている。」って記載がありまして…「ジュ・トゥ・ヴー」は唯一、「勿論映画内で使用されている」という曲目の中に含まれていないのです。聞いてみるとなるほど、これだけ妙に雰囲気が違うんですよね。華やかで、耳障りが良くて…どちらかと言うと倦怠な感じを与える他の6曲とは、まるで違います。

 何でこのサントラに入ったのよ?

 …「あなたが欲しい」から、でしょうね。誰の言葉なのか、はわかりませんが。作中の誰かが、作中の誰かに対して向ける、「あなたが欲しい」という思い。そのことを象徴する一曲として、この曲はサントラに収録されたはずです。

 じゃあ、それって誰の思いなんだ?……これ、答えが出ません、現状の私の知識では。実はこの曲、歌詞のついた歌曲にもなっている(つーか、実は歌曲の方が先だったりする)のですが…何とも悩ましいことに、「男性版」「女性版」が存在していて、歌詞が微妙に異なるのですよ。男性が歌った歌としても良いし、女性が歌った歌としても良い、なんて…ジャスイスト泣かせだな!!

 ただ…私は、その二つの歌詞を読んでみて、すごく気になった場所があるんですよ。以下は、歌詞の邦訳を比較して紹介しているサイトなんですが(MIDIによるピアノ演奏が流れますので、音量に注意して下さい)。

 ジュ・トゥ・ヴー/おまえが欲しい

 こちらから、女性版の冒頭の部分を引用させていただきます。

あんたの苦しみ あたしにもわかるわ


 …直接は、「自分のことを恋焦がれる男性に対して、その恋の苦しみが自分にもわかる」と告げる歌詞です。だから、どうかあたしを彼女にしてね、と、いう歌詞で、二人で幸せになりましょういう方向に続くわけですが…もしこれが、違う意味に読み解けるとしたなら。

 「恋焦がれるものが手に入らない」と嘆く男の苦しみを。

 同じく「恋焦がれるものが手に入らない」と嘆く女が、「あなたの苦しみがわかる」と告げる歌詞なのだとしたら。その女自身が、男の恋焦がれている対象ではないにも関わらず、「あなたの苦しみが自分にもわかる」と言っているのだとしたら。


 だとしたら、この曲の歌い手は、長門有希ってことになります。


 ……まさか、そういう場面にかぶせてこねぇだろうなぁ…ぜってぇ泣いちゃうぞ、それ。


~~~


 もう十分に長くなってますが…残りの6曲の考察がまだですな(汗)。もちろん、各曲に対して上記と同じ分量は書けませんのでご安心あれ。

 ジムノペディ。特に第1番は、一度や二度耳にしたことがおありじゃないでしょうかね?有名な曲だと思います。私は…スネークマンショーのBGMで聞いたのが初体験でしたけど(汗)、何とも言えぬゆったりした雰囲気と艶かしさを持つ、代表作の一つですね。第2番や第3番は、第1番ほど耳にする機会は多くないとは思いますが、これもまた雰囲気のある曲だと思います。

 グノシエンヌ。ジムノペディが、俗っぽい言い方をしちゃうと「いかにもおフランスな感じ」であるのに対して、こちらは随分とエキゾチックで、より不思議な曲に響きますね。だからでしょうか、ジムノペディほどはポピュラーではないのですが…彼の作ったたくさんの曲の中では、やはりよく知られているタイトルだと思います。全6曲。

 あれ?

 全6曲、なんですよね、グノシエンヌ。だけど、このサントラに入っているのは、第3番までです。ジムノペディは全3曲が入っているのに、グノシエンヌの方は、全6曲中の3曲だけ。収録できるだけの余白はCDにはあるんですがねぇ。

 「3」に、何か意味でもあるのでしょうかね?ジムノペディは3曲、グノシエンヌもあえて3曲。ジュ・トゥ・ヴーは1曲だけど、ワルツ=3拍子。ああ、ジムノペディも3拍子ですね。グノシエンヌだけは「拍子記号無し」なんで、3拍子とは違うんだろうけど…。

 「3」。これが「3人」を表すなら、誰と誰と誰なんでしょうか?答えはありませんが、これまた妄想が膨らむ点ですなぁ。三角関係、と言い換えてしまうと、風情もへったくれもありませんが…やはり、あの人とあの人とあの人、だったりするのでしょうかね?


~~~


 「ジムノペディ」というのは、サティの造語なんだそうです。そしてまた、「グノシエンヌ」というのも、サティが作ったものだと。でも、それぞれに、彼が曲に意味をかぶせたであろう「由来」が伝わっています。

 まずジムノペディは、古代ギリシアの神々を全裸で踊りたたえる「ジムノペディア」という祭典が由来だそうです。この辺は、何かの解説で読んだ記憶があったのですが、「…何故にその激しい由来で、このゆったりした曲想に?」って辺りが長年の疑問だったんですよね。でも、今回ウィキペディアさんにお伺いを立てましたら、その疑問は氷解しました。曰く、「実はこの曲はジムノペディのお祭りを描いた古代の壺を見て、サティが曲想を得たことによる」のだそうです。はー、なるほど、ですわ。そんなことがPC上で簡単に調べられるなんて、いい時代になったものです(爆)。

 一方のグノシエンヌですが、こちらもウィキペディアに解説がありますね。こちらはまるで知識が無かったんで、おとなしく頭を垂れて引用させていただきます。

『グノシエンヌ』とは「知る」というギリシア語の動詞の語幹をもとにして作ったサティの造語である。語源はまた、古代クレタ島にあった古都「グノーソス宮」とも神秘教会グノーシス派とも言われている。


 …「とも言われている」なので、ちょっと微妙なんですが…もし、この「グノーシス派云々」の方の意味が関連しているとするなら、これはちょっとエラいことになります。グノーシス派とかグノーシス主義とか言われる思想は、「自己の本質と真の神についての思想」なんですよ。



 だって、神、ですよ。



 ジムノペディもグノシエンヌも、ハルヒを語る上では避けて通れない「神」というキーワードで紐解かれるべき曲として、引用されているんじゃないのか?



 例えば、ジムノペディの方。「神を、全裸で踊りたたえるような、かつての激しい祭りのさま」を、まるで絵に描かれた古い壷であるかのように、遠く寂しげに眺める、って…。それは、「ハルヒを中心に騒がしく、でも楽しく過ごしていたかつてのSOS団のことを、既にないものとして、遠く寂しく眺めること」なんじゃないだろうな?!

 グノシエンヌの方は、もうちょっと難しいんですが…グノーシス主義の中で一般的に言われることとして、「反宇宙的二元論」というのがあります。これはね、可能な限り優しく説明すると…今あるこの世界・宇宙は、悪の宇宙であり否定されるべき、という考え方が「反宇宙論」。真なる世界がこんなに理不尽で、悲惨さに満ちているはずがない、これは本来あるべき世界ではないんだ、ってことです。そして、このような世界を作った神々もやはり悪であり、いわば「偽の神」なのだけれど、それでもきっとどこかに「真の神」なる存在はある、と。物質世界とそこにある我らの肉体とそれを作った神々は「悪」であり「偽」なのだけれど、それに対立する真の世界・霊(あるいはイデア)の存在・真の神はあるんだと。そういう対立構造が「二元論」。


 平たく言えば。


 今あるこの世界は偽のものだけど、真の世界が必ずある、と。そこに向かって、進まなくちゃと。


 ……………………。


 それはまるきり、「消失世界」から「本来のSOS団の世界」へと回帰しようという、そういう含みのハナシなんじゃないですか?!


~~~


 ……大変長々と、お目汚しを失礼いたしました。


 確信、などはありません。だけど、書いていて、とても楽しかったです(笑)。私自身は、この「行き過ぎた邪推」を手に劇場に向かうことで、より一層作品が楽しめそうな予感を感じています。もし皆さんの中でわずかでも、そんな楽しみを見い出す方がいてくださるなら、これほど嬉しいことはありません。

 最後に、ジムノペディとグノシエンヌについて、サティが書き残した曲の主題、演奏者に対しての指示などを、参考までに列挙しておきましょう。読み解くことはしませんでしたが、これまた実に暗示的で…後で見た時に「ああ?!」と思うことが、含まれていないとも限りませんので。

・ジムノペディ第1番「ゆっくりと痛ましげに」

・ジムノペディ第2番「ゆっくりと悲しげに」

・ジムノペディ第3番「ゆっくりと厳かに」

・グノシエンヌ第1番「思考の隅で…あなた自身を頼りに…舌にのせて」

・グノシエンヌ第2番「外出するな…驕りたかぶるな」

・グノシエンヌ第3番「先見の明をもって…窪みを生じるように…ひどくまごついて…頭を開いて」
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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コメント
この記事へのコメント
ジムノペディ/グノシエンヌについて
御BLOGの記事につき、当方のサイト「雑記」で引用させていただきました。
ジムノペディは長門の、グノシエンヌはXXのテ-マではないかと予想しております。
というか、御記事を読ませていただいたので想像できました。感謝いたします。
 当方の想像が当たっていると良いのですが・・・
消失をご覧になられたら教えてくださいね。
2010/02/03(水) 03:56:03 | URL | Mizukami #Sx1ckVMk[ 編集]
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