Old Dancer's BLOG
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Kanon 第13話「風の辿り着く場所」
 完結。大団円。


 …という評価で、いいのかどうか。煮え切らなさが残る今の私です。


 よく編み上げてある、とは思います。後日譚と思わせておいて…のラストの展開は、このアニメ版が初Kanonという向きには十分によく機能するでしょうし、各キャラクターの立ち位置にもそんなに無理な印象は覚えず、ギャルゲー特有のハーレム状態も嫌味には感じません。5人の個々のシナリオのラストをそれなりに一つにまとめ、自然に流して見せている点では、偉業と言っても言い過ぎではないでしょう。

 だけど…何か、物足りないんですな、私には。それは、終始沈んだ声で話していた名雪さんの姿と、無縁ではないのだろう、と思うのですが…。
 
結果的に原作にとらわれなければこれはこれで評価可能かもしれません。


 7年前の当時の、Kanon視聴完了直後の私の感想です。内輪のMLで書いたものですが、どう受け取っていいやらって書き方ですよねぇ、これ。誉めるのか貶すのかどっちかにしろ!ってなもんですが…。でもやっぱり、割り切れないところはあるんですよ、今の私も。



 結局、今シリーズにおける名雪は、最後に強さを手にしたのだろうか?



 この問いに、今また視聴を終えた私は、7年前と同じく、答えを出しかねているのです…。彼女のあのキスは、その場のBGMと同じく「最後の後悔」なんだろうかと、要らぬ詮索を続けながら…。


~~~


 さて。


 この最終話、一体誰メインの話だと感じますか?


 祐一?


 あゆ?


 名雪?


 誰、とも言えるし、誰、と断言できるわけでもない、そんな気もします。かと言って、全員なのかと言えば、そうかも知れないしそうじゃないかも知れない…。くにゃくにゃしてて掴みどころがない、そんな感じなんですよ。


 祐一がメインだと想定した場合。クライマックスは間違いなく、自分が求め続けてきた「失われた少女」、あゆとの再会のシーンになるでしょう。でも、だとしたら、祐一はもっとあゆを願い求めていていいのです、寂しがっていていいのです。なのに彼、すんごい普通なのね。あゆが消えてから一ヶ月経ったからなのだとしても、或いは未練の様を周りに見せていないのが、彼らしい気遣いの在り方なのだとしても、物語としては「視聴者にはっきりとわかるように描写するべき」だったんじゃないかなぁ。古いかもしれないけれどわかりやすい表現を貫いてきたこのシリーズなら、なおのこと、です。


 あゆがメインだと想定した場合。あゆの内面っぽい部分がほとんどクローズアップされてこないのが気にかかります。祐一が病室に駆けていく時のモノローグ、そこぐらいですね。内面はいい、復活したその過程が重要じゃないか、と思ってみても…あゆのことが語られるところ自体がものすごく少ないので、なかなかそれも肯定しづらい感じです。ラストシーンを飾ってるのがあゆと祐一なんだから、そんなに軽い扱いじゃないのは間違いないんですが…今話全体のメインを張っていたかと言われると、どうしても力強い肯定ができない感じなのです。


 そして、名雪がメインだと想定した場合。確かに、全編通して辛そうな沈んだ声の名雪は強く印象に残っていますし、あのめざまし時計(原作の逆ギミックはグッジョブ!でしたね)を使った告白は、なかなかじわっと来るものでしたが…あれが、弱かった名雪が強さを手にした表現だとするには、もう一つ決め手に欠ける感じがしてしまいます。もし本当に大丈夫なら、あそこで「最初で最後のキス」を願うでしょうか、ねぇ?いや、ああして、「本当はその人には無理なんだけど、それでも頑張っちゃうところ」というような、弱さの中のわずかな強さ、みたいな描写ならアリかも知れんけど…物語のメインを張るには、カタルシス不足が否めんのです…。何より、名雪に言った秋子さんの言葉~全部吐き出しちゃいなさい~も、祐一に言った秋子さんの言葉~例え想いが実らなくても、それは生きる糧になって行くんじゃないかしら~も、いいことは言ってるんだけど微妙に彼らの関係修復には生きてないしねぇ…。やっぱただの天然だったのか、東映版秋子さん…白馬の王子様云々も、ちょっとアレだしなぁ…。


 全員がメイン、と言うか、特定の誰かを描くのではなく、物語そのものにメインが存在するのだとしても…そのメインであるべきテーマは、一体どこかしら、と。祐一が最後に言った、「奇跡は俺たちの中にある」かなぁ?いやー、それ、このストーリーの中で、一体どう解したらいいんだろう?


 わかったようなわからんかったような、なんだか煙に巻かれた感じ、というのが正直なところなのです。


~~~


 奇跡の所在。


 それは、とても難しいテーマだと思います。少なくとも、今シリーズ中で漠然とでも統一された「奇跡の所在」が描かれていたようには、私は感じ取れていません。私には、無理だったんでしょうか?

 でも、一つは。一つくらいは拾わなきゃ。そう思って何度か見るうちに、一つだけ気付いたことがありました。直前、第12話との対比において、それはおぼろげに姿を現すのです。

 第12話では、あゆが奇跡の力を発動させて、秋子さんの命を~引いては、名雪を救っていました。そして、この第13話では、名雪が気付いた事実を祐一に伝えることで、あゆの目を覚まさせる奇跡の手助けになっているんですね。

 祐一の、名雪を助けてやりたいという気持ちに、天使たるあゆが反応して、奇跡が起きる。祐一の、あゆを救ってやりたいという想いに。普通の少女たる名雪が応えて、奇跡が起きる。

 想いの循環。想い人の真なる願いに、そっと添えるような力こそが、奇跡を生む。だから…「奇跡は俺たちの中にある」、そう言いきってもいいのかな、と。

 ま!それを、特に終盤は助けられる一方だったようなお前が言うな、とは思いましたがね!(苦笑)


~~~


 先にもちらっと述べましたが、名雪シナリオの解決のキモ~あのめざまし時計を使った逆ギミックは、原作ファンを唸らせ得る粋な計らいだったと思います。そして、名雪が「あゆの今がちゃんと存在すること」を言外に告げてからのあの展開、急速に世界がざわめき、時間が大きく動き出すような進行は、原作あゆシナリオのラスト、秋子さんが「女の子が目を覚ました」と告げてからの急展開を十分に連想させる、なかなかの作り込みでした。

 オリジナルでありながら、原作を踏まえての粋な読み替えにもなっているようなこの手の仕掛けは、やろうと思ってもなかなか上手くいくものじゃないです。素直に、おお!と思いましたし、存分に楽しめたと思います。

 微妙っぽいこともいっぱい書きましたし、それも本心ではあるのですが、楽しめた部分が少なくないのも事実です。不思議ですね、自分の中に京アニ版があることで、逆にこの展開も大らかに見られるようになっているような、そんな感覚が自分にはあります。これ一つだったら、「唯一無二のアニメ版Kanon」として認めることを、自分のあちこちが拒んだでしょう。でも、原作とはそれぞれに異なる「東映版」「京アニ版」が存在することで、「どちらもそれぞれに価値のあるオルタナティブ」として、再評価できるようになっている気がするんです。

 想いを込めたところに、繋がる人の願いが奇跡になるのだとしたら…私もその輪の中に、我知らず加わっていられたら、それはとても素敵なことなんじゃないでしょうか?その奇跡に、私を導いてくれた多くの人の想いに、どうか、幸あれ。




 シリーズ後半を一気に駆け抜けたこのレビュー、おかげさまで当ブログでは久々に多くの方に読んで頂けるシリーズになりました。7年前にギャルゲー原作のアニメ化というパイオニアに挑んだ制作スタッフの皆様と、「継続と停止が同時に存在」しているような当ブログに今でも読みに来て下さっているたくさんの方に、改めて大きな感謝を捧げつつ、このレビューを終えようと思います。


 ありがとう。


 言わないよ(あれっ)。



 ……………。



 そうでした。まだ、番外編が一つ、残っていたんです。近々、そう遠くないうちに、また。
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。
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