Old Schroedinger's BLOG
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電脳コイル 第22話「最後のコイル」
 今回は作画面に少々ウィークな部分を抱えていたようにお見受けしますが私としてはもーそんなの関係ねぇ!!

 剥けば剥くほど次が現れるタマネギさながらにまだまだ先が見えない「この世界のナゾ」と言い、今まで強固に自分を固めていたカラがすっかり剥げ落ちてしまったかのようにポロポロとこぼれる「イサコの涙と弱さ」と言い…。イサコの行き詰まりがデンスケの行き詰まりと重ね合わされて、二重の絶望感、無力感をもたらす仕掛けには心底震えましたが、それがストーリーのピークじゃなくて単なる通過点とか、一体どういうことよ?!

 「鬼ごっこ」が原形と思われる「オートマトン(もしくはイリーガル)とのおいかけっこ」は、このところ毎回引きを飾っているにもかかわらず、一向にマンネリを感じさせないこの構成もまた驚愕の一言!強化される敵、同時に攻めてくる敵、そして「反則」までも使ってくる上位版…なのに、少年マンガにありがちな「インフレ感」はほとんどなく、常に「アレに捕まったらオワリ」というドキドキした気持ちを視聴者に共有させる手腕には、もう熱狂的に拍手を送りたい!
 
〜〜〜

でも、全部ムダだった。
私は、誰の役にも立てない、
何にも出来ない、ダメな子なんだ…。


 これは辛いですよ…挫折を一度でも経験した人ならわかるよね、この痛み、自責の念。自分の存在意義も、行動の原動力となる思いも、全てを否定されてしまったかのようなイサコの姿には、涙を禁じえませんでした。そんな「八方ふさがり」の中で、むき出しになってしまったイサコのか弱い本心とともに、ヤサコに向けて差し出される懺悔の言葉たち…。

 どんなに嫌われても、人を傷つけても、それでもやらねばならないこと、成し遂げねばならないことが自分にはある…それこそが、今まで外から見えていたイサコの姿だったわけです。でも、その「それでもやらねばならないこと」が本当には存在しなかった、虚偽のレゾンデートルだった、と告げられた後のイサコには、もう強がる理由も何も無いんですよね。むしろ、素直になってしまった心から出てくるのは、「今までひどいことしてゴメン」という贖罪の思いだけ。…いや、きっと「罪を贖うことすら自分にはできない」とさえ、彼女は思っているのでしょう。

〜〜〜

 そのイサコに対して、ヤサコは手を差し伸べます。まだ「友だち」と言葉にするのは躊躇してしまうけれど、それでも「何があっても受け止める」と言ってあげられるヤサコには、やわらかな強さが宿っています。強がりが全て剥げ落ちて本来の優しさが見え隠れするイサコと、どちらかと言えば弱々しい部類だったのに人を励ます強さを見せるヤサコ。表層的なイメージは反転して、「表・裏の関係」だったユウコ二人が、「裏・表の関係」に見えてくるんですよね。或いは、対立して立っていた二人が、同じところに合一した瞬間とも言えるでしょう。

 涙に暮れていたイサコを介抱するヤサコの姿に、EDの最後の歌詞がかぶって見えました。

君が涙の日は 飛んでいくから
いつでも どんなときも 揺るがない手と手
道は続いてる

繋がっている


 ED曲「空の欠片」が表している、二人の関係の「行き着く先」。そこに繋がる兆しをみせる、「涙」と「差し伸べる手」があって…まだそれは「揺るがない」固さで繋がれているわけではないけれど、でも、そこに向けて道は繋がっていくのだと思います。

 だから、まだきっと、イサコと兄・信彦に、そしてひょっとしたらヤサコにとっての「4423」にまつわる話には続きがあります。「兄が既に死んでいる」という話自体がフェイクなのかもしれないし、もし仮に本当に死んでいたのだとしても、ハラケンがカンナに思いを吐露して救われたように、イサコにも救われる瞬間があるはずだと私は信じていますよ。だって、電脳コイルは当初から「二人のユウコの物語」として紡がれているんですから。

〜〜〜

 「何も出来ない」という内向きの思いを、ようやくデンスケを治すことへと前向きに切り替えることができそうになったイサコに、そして家族の一員であるデンスケの重体に即し、その治療にようやく光明が見えたヤサコに、間髪入れず襲い掛かる悪意のオートマトン・2.0。「キューちゃん」「サッチー」という愛嬌ある名前がないことが、無機質な外見に加えて更に「冷たい意思」を感じさせます。有無を言わさず、圧倒的な攻撃力で、二人の希望を潰しにかかる2.0…。

 そこに唯一対抗しうる術式は、失われた「コイルス」の技術で編まれた「最後のコイル」。この設定自体にももんのすごく燃えるわけですが、いやはやそこにイマーゴの話を絡めてくるわ、暗号路と副作用の存在を示しつつ二人をガンガン追い詰めるわ、切羽詰ったところで最後のコイルを取り込むヤサコ、ギリギリのところで放たれる暗号、しかしもうダメだと思わせて今度はイサコが、とかもーコブシ握りっぱなしですよこっちは!!

 前半の「ヤサコとイサコ」のシーンで、互いに反転しつつ見えてくる強さと優しさがあり、実は二人には同じ部分がそれぞれあるんだよね、と示してあるもんだから、「同じように暗号路を持つ二人だった」と判明するところから「互いにピンチを補い合っての共闘」のところまでが、メルトダウン寸前という勢いで燃えまくるんですよ!うおおおおおおおおおおお!!

 「コイルス社の失われた技術」が古流に繋がるものであり、その名前さえも古流≒コイルという風に聞こえる仕込みになっているのも、違った意味で燃えどころですよね。全くの余談になっちゃいますが、「失われた技術でなければ治せない」「その場所を探し出せれば治せるかも」という展開が、私の大好きな横山光輝先生の傑作「マーズ」へのオマージュにも思えて、これがまた個人的に超・たまらんわけですよ。

 これだけ魅力的な世界観を紡ぐだけでも大層なことなのに、そのちりばめられた設定の隅々までに何らかの意味づけや相互の連関が張り巡らせてあって、文字通り一かけらも無駄な部分など無いように思えるのが、もう言葉に尽くせぬほど素晴らしい!次週の「総復習」がいかなる事情によるものなのかはちょっぴり不安もあるけれど、是非とも残り数話、制作スタッフの皆様には大団円をめがけて頑張っていただきたいと思うわけであります。力いっぱい応援してますから!家族総出で、いや、一族みんなで!!
楽しんで頂けましたらWEB拍手をお願いします。

テーマ:電脳コイル - ジャンル:アニメ・コミック

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