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Old Dancer's BLOG
ここはてりぃが、趣味の共通する方々との得がたいつながりのために、自分の趣味に関係する諸々のことを、壊れながら書きつづるブログです。
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「さよならミラーマン」
 朝焼けの光の中に、立つ影は…。


 NHPスタッフのツバサさん、翠さんに半ば触発されるような格好で、私もこの本を読んでみました。70年代のヒーロー・鏡京太郎に扮した石田延之さん(当時は信之さんだったそうですが、改められたようですね)ご自身による、ミラーマンを中心とした自叙伝的な一冊、その名も「さよならミラーマン」。データを積み上げた資料本としての価値はその手の専門書に譲るものの、「ご本人でなければ語りえない裏話、当時の心境」などを知るアイテムとしては非常に価値のある一品かと思います。

 なお、このタイトルが「ヒーローとしての自分との決別か何かを表しているんじゃないか?」と事前に勘ぐってしまったのですが、そのような雰囲気は一切なく。このタイトル、ミラーマンの第51回=最終話のサブタイそのものなんですね。放映当時の怒涛の一年、その勢いや熱さに思うまま身を委ねた後、最終回の気持ちそのままに筆を置く、というところだったのかも知れませんね。
 

 NHPスタッフのお二方とは違い、私は何と「ミラーマンをリアルタイムで見た世代」に含まれます。と言っても、放映開始時点でわずかに4歳。確実に見たことは記憶にありますが、その内容ともなると…あらかた揮発し尽くして、もうナンにも残っていないという有り様です。ただ一つの強烈なイメージを除いては。

 岩山のようなところで、辛うじて見つかったちっぽけなガラスの破片。そこに向き合って、鏡京太郎が変身し、ミラーマンとなって敵に立ち向かう…。実際に見たシーンの一部なのか、漠然としたイメージだけが自分の中で変質してこのようになったのかは知るべくもないのですが、自分の中でのミラーマンはそういう感じなんです。なかなか変身できず、追い詰められ、もうダメかというところでやっと見つかる変身への扉…。ウルトラマンがなかなか変身できない理由が「人目のあるところでは…」ぐらいしかないのに対して、ミラーマンは変身するために必要なアイテム・鏡自体がなかなか見つからず、それでいつも苦労している、というようなイメージがあるんです。

 この本の巻末には「二次元へのラブレター」というタイトルで読売新聞の鈴木美潮さんが寄稿されているのですが、その中には「大人になって見てみたら随分と欠陥だらけなヒーローだった」という主旨のことを書かれています。でも、そんなボロボロなヒーローに、彼女もどうしようもなく憧れたのだと、それは「どんなに困難があっても立ち向かっていく姿勢に惹かれたのではないか」という風に仰られていて、それで私も膝をポンと打ちました。先のイメージぐらいしか残っていない割に、「ミラーマン」という存在は何故か強く心に残っているんですね。変身すること一つ取っても困難が付きまとうヒーロー。でも、諦めたりせずに活路を探し、ついにはヒーローに変身して凛々しく立つ…。そこに流れるヒロイズムは、多分幼い私の心を強く揺さぶったのではないでしょうか?

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 本の内容の話に戻りましょう。この本を大きく分けると、本の前半部・当時を振り返る部分と、石田さんが書かれた短編小説「鏡面世界の男」とから成っています。前半部は「資料を積み上げる」方向のものではなく、それぞれのエピソードごとに「その当時にあったことを思い出し、知人に語る」ような雰囲気で進みます。細かいデータを期待されている向きには不評かも知れませんが、この語り口の端々から石田さんの誠実なお人柄がにじみ出ている気がして、私はとても好感を覚えましたね。番組をろくすっぽ覚えていないのでこのくらいの感想なのですが、もし放映当時を鮮明に覚えておられる方なら、ここから「鏡京太郎との共通点」などを感じ取ることができるのかも知れません。

 後半の短編小説の方は、プロット的には十分「中長編」に分類されるぐらいのお話でした。それを短編サイズ(それでも石田さんのお知り合いからは「長すぎる」と言われたそうですが…)にまとめているため、特に序盤から中ほどにかけて、かなり端折った展開に見えてしまうのが残念と言えば残念でしょうか…。もちろん、本職の小説家ではない石田さんの手によるものですから、文章力にも自ずと限界はありますし。

 それでも、私は中盤ぐらいからかなり引き込まれてしまい、一気に最後まで面白く読ませていただきました。人生の坂を転げ落ちてボロボロになった主人公が、超常的な鏡の中の世界と関わることで、ある種のヒーローとして自分の生きる道を見出していく…そのストーリーには、前述したような「ミラーマンの魅力」が、幾分なりとも現れているような気がするんですね。そして、このお話のラストが表すものは…ここから先はどうぞご自分の目でお確かめ下さい。私自身、気付くまでに結構時間がかかりましたので…読み終えた後もう一度、この本の名前に戻ってみると、何か胸に落ちるものがあるかも知れませんよ?
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