Old Dancer's BLOG
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 いや、まあ、サブカルものの紹介記事には限らないという気もするんですけどね。TBで普段お世話になっているまごプログレッシブ:Part2~Scenes From A Memory~さん経由で。

 クラナド:心に残る“感動系”ついに最終章 劇場版9月15日公開

 …まあ、「感動系」という呼称についてはいいとしましょう。ナンかすんげぇ曖昧なカテゴリだし、自分自身はKEYの作品を「感動系」と呼んだことは一度もないので、違和感ありまくりですけど、ね。中には確かにそうカテゴライズする人もいるし、世の中の認知としてそれが一番受け入れやすい、という点はわからなくもないから。

 でも、やっぱしツッコむ自分を押さえられないのは「最終章」という記述。なんだそれ?ナンの最終章よ?
 記事読んでみて、ああ、そうなん…と思ったのが、このClannadを紹介する冒頭の記述。

同レーベルの「KANON」「AIR」に続く「感動系美少女ゲーム」3部作の最終章として、04年4月にPC版が、06年2月にPS2版が発売された。「感動系」とは、登場人物の死などの悲劇を乗り超えて、主人公が成長していく姿を描くスタイルで、熱心なファンからは「泣きゲー」などとも呼ばれる。


 あー。

 3部作の最終章?

 KEY自身が「Kanon」「AIR」「Clannad」を「3部作」として作った事実はないと認識していたのですが、違うの?ファンの側が言ってるだけでしょ、「3部作」って。それなのに、「最終章」?コアなオールドファンの中には、蔵じゃなくてTactics時代のONEの方を入れて「3部作」とする向きさえあるって言うのに…。(´・ω・`)

(「感動系」の定義の仕方も強引極まりなくてツッコミどころ満載だけど、ここではまあスルーします…)

~~~

 とかく人は「3部作」みたいな括り方が好きであります。ま、確かに美しいですわね、3つのまとまりは。そこに舞台やテーマの明確な関連性が見出せるなら、ね。

 ちょっと偏った物言いであることを承知で、でも論旨を明示するためにあえて言わせてもらえば、「Kanon」「AIR」「Clannad」の三作は確かにKEY作品の顔と言える「三大作品」ではありますが、その内容に明示的な連関を持つ「三部作」とは言えないと思います。確かに、人との絆、家族、失われそうになるそれらへの涙、と言った「共通モチーフ」はそこここに現れますよ。でも、それはむしろKEY作品に共通する地盤、言い換えれば彼らの「作風」であって、この三作を明示的・有機的に結びつけるテーマとして機能はしていません。

 一方、作家論的な視点では、この三作にある種の「流れ」を見出すことは出来ます。その最たるものが「父親」の扱い。KEY一作目の「Kanon」においては、「父親」は完全に不在です。佐祐理さんシナリオがあくまでおまけに留まったのは、彼女のシナリオに「父親」が含まれるからではないかと勘ぐられるほど、徹底して「父親」という存在は描写されません。それが二作目の「AIR」になると、部分的に「父親」が現れ、ある程度の役割を果たすようになってきます。「子」に継いでいくものがあるというバックボーンがそうですし、サブヒロインについても既に死亡・別居した父親が語られるようになっています。しかしラストシーン、ヒロインの真の父親はヒロインの運命に対して決定的な何かを果たすことが出来ません。従って、この「AIR」においても、まだ「父親」の役割は限定的である、と捉えるべきなのだと思います。

 そして、三作目にあたる「Clannad」に至って遂に、主人公が「父親」と向き合うことが作品の根幹を占めるテーマとして描かれるのですね。冷え切った父子の関係、それと対照に眩しく映る古川家の団らん、その中で「家族を守ること」を体現してみせる秋生の存在。その中で主人公たる朋也は何を学び、その末にどこに行くのか。あれだけ「父」というものに対して多くを期待していなかったように見えたKEYが、遂にここまで斬り込んできたかと、プレイしながら歓喜にうち震えたものですが…おっと話が逸れました。

 このように、「父親」を巡る扱いの変遷は、この三作を俯瞰した時に趣深い流れとして目に映ります。しかしこれは、原作者が意図的に流したものというよりは、三作を作っていく上で「原作者の中に生じた変化」がこれら作品のモチーフの変遷の中にたまたま読み取れる、と解すべきではないかと思います。何故ならば、各作品におけるそれらの描写はやっぱり個々に独立しており、その前後の作品を前提とする如何なる仕込みもその中には見つけることが出来ないからです。「Kanon」での父の不在は、決して次なる「AIR」で部分的介在の描写が来ることを前提とした描き方になっておらず、その逆もまた無いのですよね。もちろん、「Clannad」についても同じです。

 長々と脇道も含めて語ってきましたが、要すれば原作者がこの三作を意図的にワンパッケージ(もしくは一連の作品)として送り出したなどという事実はやはりないのではないか、と。「Clannad」が三部作の「最終章」などということには、どう考えてもならないんじゃないかと、そう思うのです。むしろ、「Clannadよりも面白くなる手応えを感じている」「ラストミッション」と麻枝氏が公言している「リトルバスターズ!」を最終章とする方が、まだしも蓋然性があろうかというものです(…ま、「前より面白い」というのは送り手が常に言うことですし、そもそもまだ世に出てもいない作品だから、それを最終章と呼ぶのも無理筋ではあるんですけどね)。


~~~


 結局は、「わかりやすい売り文句」に過ぎないんだよなぁ。「三部作」も、「最終章」も。その「わかりやすい売り文句」一つで、興業が伸びるならそれもいいじゃん!てことなのかもしれませんが…今回の劇場版の出来の如何は全く別にしても、やっぱりそういう方法論は好きじゃありません。言ってみれば「売り逃げ」でしょ。中身があろうと無かろうと、宣伝の方法論の巧拙で興業をどうこうしようというのが、そもそもオオマチガイなんじゃないのかと。

 まあ、今作に限らず、映画の謳い文句というのはそういうのが多いですよね。全米興行記録歴代ナンバーワン!とか、全世界が泣いた!とか。他の方は知りませんが、あたしゃもう完全に「狼がまたキター!」てなもんですよ。食傷過ぎて、聞いても何にも感じないばかりか、「そういう謳い文句以外に見所がないんじゃないのか」と勘ぐりさえしてしまう始末で。

 宣伝がどうあれ、中身が伴っていればきちんと世界は評価してくれる部分もあるんじゃないのかしら。昨年の「時をかける少女」がそうだったように、さ(もちろん、そこにはいくばくか以上の幸運も味方に付ける必要があるでしょうが)。逆に、宣伝は華々しくて誰もがその映画のことを知っていたって、中身が伴わないものなんか誰も見向きをしなくなりますよ。

 で、先の記事の締めくくりですが。

3部作の集大成となる劇場版「クラナド」。この秋、映画館が感動の涙であふれるのは、間違いない。


 はいはい、ワロスワロス。つーか、絶対この記者、中身知らんで書いてるよね。「間違いない」か、ふ~ん。
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コメント
この記事へのコメント
わっはっはー
仙台じゃ上映しないっすよorz
原作もまだやったことないし。
#その前にAIRやれよ俺


宣伝文句がどれもこれも陳腐で
キャッチーとは対極なものばかりに
なってしまったのは一体いつ頃からでしょうね?
筋金入りのオタク層はその辺特に
見る目が厳しいけど、
昨今の「ブームに乗ったオタク」は
この程度でも釣れるんでしょう、きっと。

おーっと言葉が悪くなりましたね。
失礼しました。
私も最近の映画の宣伝文句には
何も感じません。
何でもそうですけど、記録に残るものより
記憶に残るものを大事にしていきたいものです。
2007/05/07(月) 21:10:13 | URL | (な) #6SWgxDAM[ 編集]
楽な道、きつい道
>(な)さん

AIRもCLANNADも未プレイでらっしゃるんですね。ある意味、それはとてもうらやましいことですよ。ビジュアル面ではアニメ版に軍配が上がるものの、どちらも非常に咀嚼し甲斐のあるシナリオですから、時間を見つけて是非プレイなさって下さい。

咀嚼と言えば、何百年も前の日本人に比べて、現代人はアゴの力がかなり衰えている、という話を聞いたことがあります。それは、力を込めて噛まなくとも良い軟らかい食べ物に長期間かけてシフトしてきたせいなのだとか。このアゴの力の衰えが、脳に対する刺激の減少となって現れており、考える力の低下を招いている、という話もありましたね。

この話の真偽はともかくとしましても、あまり考えずに進めるような「楽な道」ばかりを行っては、「きつい道」を行く能力が衰えてしまうんじゃないか、という危惧は持っております。定型句に踊らされず本質を見極める目を養うなどして、自分を鍛え続けたいものです。
2007/05/08(火) 18:03:22 | URL | てりぃ #O8jQI81I[ 編集]
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